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2015.12.05 13:00

ハリウッドの豪華スターが臨席して幕を開けたマカオのスタジオ・シティ、VIP席はなし

Nattee Chalermtiragool / Shutterstock

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Melco Crown Entertainmentの最新施設、スタジオ・シティは、コタイ地区のその他の総合リゾートとは一線を画している。マカオのカジノ自由化以前の歴史を引き継ぎ、映画をテーマに掲げているのだ。
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オープニングナイトには、アカデミー賞俳優、ロバート・デ・ニーロとレオナルド・ディカプリオを主役に据えたマーティン・スコセッシ監督の短編映画、『The Audition』をプレミア上映。この3人に加えて、ブラッド・ピットもオープニング・セレモニーに出席した。スタジオ・シティの32億ドルに上る値札が可能にしたのは、カジノとは無関係の、ファミリー客向けアトラクションの数々だ。世界のカジノの中心地であるマカオを、より均衡の取れた観光地にしたいという、北京及びマカオ政府の意向を意識したものとなっている。黒とシルバーをアクセントにしたアールデコ調のデザインで、なにより特徴的なのは、VIP用のカジノ施設がないことだ。

ここは一般客向けのカジノリゾートである。マカオのカジノ産業が最悪の落ち込みを見せ、中国経済も後退しているこの時期にオープンし、主なターゲットにしたのは、増加中の中国中産階級だ。そもそもスタジオ・シティは、中国映画やテレビ番組を数多く製作しているMedia Asia Groupを傘下に持つ香港のコングロマリット、 Lai Sunが2001年に建設計画を立てた時、メディアトレーニングセンター及び映画製作所となる予定だった。翌年にカジノが自由化されると、Lai Sunはプロジェクトをカジノへと変更し、パートナーを招いて開発に着手。パートナー間の意見の相違によってプロジェクトは棚上げされたが、2011年に入ると、Lai Sunが保有する60%の権利――アメリカのヘッジファンドであるSilver Point CapitalとOaktree Capital Managementが持つNew Cotaiが残りを保有――をMelco Crownが買い上げて、プロジェクトを掌握した。

そもそもの計画通り、スタジオ・シティには、フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースのトイレ等、ハリウッド黄金時代を思い出させる要素がちりばめられている。Melco Crownはカジノ以外のアトラクションに数億ドルを費やし、世界初の4Dフライトシミュレーションである"Batman Dark Flight"、マジシャン・フランツ・ハラーレイの"House of Magic"、ビルの間に建てられた23階の高さから始まる8の字型の観覧車"Golden Reel"を建設。座席数5,000の多目的アリーナでは、マライヤ・キャリーがオープニングナイトにパフォーマンスを披露し、2月にはマドンナも2公演を行う予定となっている。
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カジノについては、ゲームテーブルを250台設置する許可を政府から得ており、オープニング時に200台を、来年に入ってから50台を配置予定で、他にもゲームマシンを1200台設置することになっている。テーブルはすべて一般客向けで、VIPエリアはない。これは、1年前のマカオですら、考えられなかったことだ。ジャンケット(VIP客の仲介業者)のプロモーターらは、今回の決定には大きな意味はなく、もっとテーブルを用意できたら、スタジオ・シティはVIPエリアを設置するだろう、と言っている。たしかに、VIPルーム用のスペースは確保されているようだ。しかし、VIPプレーがマカオの沈下を招いたことや、マカオのVIPプレーに欠かせない海外違法送金をターゲットとした反腐敗運動の流れを、中国が巻き戻すとは考えにくい現状を思えば、今後は一般客に重心を置くようになるだろう。

大衆に頼るというスタジオ・シティの方針は、「成功するはずだ。現在、VIPプレーは利益率の点でその意味を失いつつある」と、Union Gaming Securities Asiaのアナリスト、グラント・ゴバートソンは言う。ウェルズ・ファーゴ証券は、VIPプレーが存在しないことによって、困難な環境におけるスタジオ・シティの挑戦は、さらに難しいものとなると考えているが、一方でモルガン・スタンレーは、スタジオ・シティは現四半期からMelco Crownのドル箱になるだろうと見ている。

一般客向けカジノを成功させる鍵はシンプルだ。一般客を呼び込めばいいのである。観光客と、客が消費する金額とを徐々に増やしていけるかどうかは、スタジオ・シティをはじめとする新リゾート施設にかかっている。新リゾートの効果は少しずつ表れ、マカオへの新たな興味をかき立てるはずだ。

編集 = Forbes JAPAN 編集部

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