ゴールドマン・サックスによる第2四半期決算シーズンの最新の分析は、市場全体に関する不都合な事実を突きつけている。S&P 500全体において、投資家は今なお、実証されたAIによる生産性向上という見返りに対してではなく、AIインフラというストーリーに対して資金を支払っている。これはあらゆる業界に共通する傾向だが、資産運用業界にとっては特に重い意味を持つ。ボストン コンサルティング グループ(BCG)が発表した年次の資産運用報告書でも、これと同様の分断がすでに業界内部で進行しており、AIの価値を取り込んでいる企業と、ただその恩恵を待ち望んでいる企業との二極化が進んでいることが示されている。
ゴールドマンの報告書によると、今四半期にAIが自社の収益にどれだけ貢献したかを実際に数値化できたS&P 500企業はわずか2%にとどまり、第1四半期から横ばいだった。また、AIインフラ関連銘柄がS&P 500の31%の収益成長の約半分を占めた一方で、中央値にあたる企業の成長率は14%と緩やかなものであった。これは、AIによる生産性向上効果が、まだ産業全体に浸透していないことを示している(ゴールドマン・サックス・リサーチ「US Weekly Kickstart」2026年8月14日)。
資産運用会社はS&P 500構成銘柄の10%未満にすぎないが、私たちの業界はこの問題を他人事として済ませるわけにはいかない。金融サービスという大枠の分類において、BCGによる同セクターのスコアリングによると、資産運用会社はAI成熟度において銀行、フィンテック、保険会社に後れを取っている。その結果、資産運用業界は導入の遅れている「ラガード」であると同時に、構造的な理由から、現在最もイノベーションを迫られている業界の一つという立場に置かれている。
実証を待つ余裕のない業界
この緊急性は、経済的な背景から説明できる。2025年における資産運用業界の収益成長の80%以上は、ビジネスの伝統的な原動力である「運用担当者のスキル」によるものではなく、市場の上昇によるものだった。一方で、コストの伸びが収益の伸びを上回っているため、マージン(利益率)は10年以上にわたって約30%と横ばい状態が続いている。成長の主軸は個人投資家、確定拠出年金(DC)、デジタルプラットフォームへと移行しており、米国では2048年までに推定124兆ドル(約19800兆円)の資産が世代間で継承される見通しだ。運用の規模が大きくなるほど、より多くの手数料を徴収するという古いビジネスモデルが戻ることはない。
したがって、AIは単に「あれば便利な生産性向上ツール」ではない。BCGは、AIをこの移行の中心に据えており、コストを25%から35%削減し、リレーションシップ・マネージャー1人あたりのクライアント対応数を3倍から5倍に拡大できる可能性があるとしている。これは計算上、極めて合理的な賭けだ。しかし、インフラの整備を進める一方で、その賭けが実際に成果を上げているかどうかを実証する手段が業界内にほとんど存在しないという問題が依然として残っている。
AIがもたらす見込み利益
現在、資産運用業界におけるAI活用の手引(プレイブック)は成果ではなく、ロードマップの段階にある。それでも、導入初期の不確実性を乗り越えた企業にとって、理論的なプラス面はBCGによれば非常に大きい。BCGの推計によると、ファンド運営のキャパシティ(業務処理能力)は55%から65%向上し、コストは約40%削減されるという。さらに、リサーチ対象の拡大や、製品の上市(市場投入)サイクルの高速化も期待できる。
収束する2つの二極化
今の局面が、単なる「AIが業界を変えつつある」というありきたりな話よりも深刻である理由は、変革を切実に必要としている資産運用業界にとって、AIが数少ない有効な手段の一つだからだ。現在、2つの力が収束しつつある。
1つ目は、ゴールドマンの決算データが市場全体ですでに示している全体的な二極化だ。これは、目に見える形で実証可能なAIの価値をすでに取り込んでいる企業(現時点ではほぼインフラプロバイダーに限定される)と、既存のソフトウェア予算や人件費をひそかに再配分してAIの実証実験に資金を投じ続けている企業(調査対象企業の約3分の2を占める)との間で、格差が拡大していることに現れている。
2つ目は、資産運用業界の内部的な二極化だ。少数の企業は、BCGが「ディープに行く(深く踏み込む)」と呼ぶアプローチを採用する。つまり、組織全体に細かなパイロットプロジェクトを分散させるのではなく、オペレーティングモデル(業務運営モデル)を再設計し、最初からガバナンスを組み込み、少数の革新的な取り組みに資金を集中させるのだ。それ以外の企業は、従来の微調整にとどまるだろう。そして、AIによる優位性は複利のように蓄積されていく(自動化によるキャパシティ拡大がさらなる実験の原資となり、それがさらなる優位性を生む)ため、これら2つのグループの格差は直線的にはとどまらない。数年もしないうちに、現在のAIインフラ関連銘柄と、生産性向上のストーリーを待ち望んでいるその他大勢の企業との間に見られるような格差が生じる可能性がある。
人間の判断力が勝る領域
基本的な分析がコモディティ化するにつれて、競争優位性は「判断力」へと移行するとBCGは主張する。すなわち、どのモデルを信頼するか、いつその判断を却下して人間が介入するか、そして機械が生成した洞察をどのようにクライアントが実際に行動を起こせる形に変換するか、という判断力だ。技術そのものではなく、販売網(ディストリビューション)と関係構築が「最大の主戦場」となる。なぜなら、システムが不安定なとき、クライアントが選ぶのは、最も業務が自動化されている企業ではなく、確かな判断力を発揮してくれると信頼できる企業だからだ。これは、私が以前このコラムで、より広い意味でのウェルスマネジメントにおけるAIについて主張したこと、つまり「機能ではなく、信頼こそがAI導入の真の決定要因である」ということと一致している。
そして、信頼が鍵を握る導入プロセスは、定義上、四半期決算のような短期的な数字には現れにくいことを、私たちはよく知っている。
資産運用会社が先送りできない賭け
ゴールドマンが示した「2%」という数字は、市場全体に対する厳しい現実の突きつけだ。つまり、AIによる収益への影響は依然として限定的かつ未実証であり、恩恵を受けるはずの企業ではなく、インフラを販売する企業に集中している。大半の業界にとっては、これは「様子見」をする理由になる。しかし、資産運用業界にその余裕はない。利益率が10年以上にわたって横ばいであり、成長の場自体がAIによって再形成されようとしている市場にシフトする中、資金を投じる前にゴールドマン基準の実証データを待つような企業は、5年後には「待たなかった企業」と競合することになる。その時、両者の間にあるのは単なる決算1期分の差ではない。それは構造的な深い溝(キャズム)となっているはずだ。



