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2026.09.03 08:17

英国デジタル国家の主導権を握るのは誰か

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英国はデジタル国家になろうとしている。その野心を実現するために必要な技術の一部は、ますます少数の民間企業によって提供されるようになっている。

6月、超党派で構成される英議会の科学・イノベーション・技術委員会は、マイクロソフト、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)、パランティアといった大手テクノロジー企業への英国の依存が高まっていることが脆弱性を生んでいると警告した。特にパランティアには注目が集まり、議員らは同社の公共部門における存在感の拡大を「容認しがたい脆弱点」と表現し、少数の米国サプライヤーへの依存は英国を海外勢力にさらす恐れがあると警鐘を鳴らした。

問題は、英国が依存を強めている技術に対してどれだけの支配力を保持しているかである。政府が民間企業から製品やサービスを購入すること自体は昔からあるが、デジタルインフラは事情が異なる。複雑な公共サービス、データシステム、業務プロセスは、いったん特定のプラットフォームを中心に構築されると、移行が困難かつ高コストになる場合がある。

したがって英国は、依存度を高めているシステムに対する実質的な支配力を維持する必要がある。

政府横断的に広がるパランティア

パランティアは現在、英国政府の最も機密性の高い領域の一部に関与しており、その契約や事業は医療、防衛、金融規制に及ぶ。

2023年11月、NHSイングランド(国民保健サービス・イングランド)はパランティア・テクノロジーズUKに、医療サービスの管理・計画に使われる情報を統合するためのFederated Data Platform(連合型データプラットフォーム)契約を発注した。

この契約はしばしば3億3000万ポンド相当と説明されるが、調達文書はより正確な姿を示している。落札額は1億8224万ポンドで、NHSイングランドは支出が利用状況によっては最終的に予測3億3000万ポンドまで増加し得ると述べている。調達通知は、この高い金額はコミットされた額ではないとしている。競争的対話プロセスを通じて7件の入札が寄せられた。

パランティアと英国国防省の関係ははるかに大きい。2025年12月に締結された3年間のエンタープライズ契約は2億4060万ポンド相当で、2026年4月から2029年3月まで続く。調達通知によれば、この技術は、機密区分をまたいで戦略、戦術、実際の作戦上の意思決定に使われるデータ分析を支え、NATOおよび同盟国が使用するシステムと相互運用する。

この契約は、英国政府全体でパランティアの役割が拡大していることを示す一部だ。2025年9月、政府はパランティアとの戦略的パートナーシップを発表し、同社は英国に最大15億ポンドを投資し、英国を欧州における防衛事業の拠点に位置付け、データ分析、情報、意思決定支援、目標選定などを含むAI対応能力について軍と連携すると表明した。政府はまた、パランティアが引き続き国防省のデジタル・データ戦略の実装を支援することも明らかにした。

国防省はForbesに対し、省内に展開されているパランティア製ソフトウェアで使用・生成される全てのデータは主権的で、国防省の所有下にあると述べた。契約上の統制により、パランティア製ソフトウェアが動作するデータシステムを国防省が管理し続けることが担保され、国防省の同意なしに変更はできないという。またこれらプラットフォームは人間の意思決定を代替するのではなく支援するものだと付け加えた。

国防省は、パランティアからの移行を選択した場合にどのような代替手段があるか、システムやデータを別のプロバイダーにどれほど容易に移行できるか、あるいはそれらのシステムを代替・再構築するための十分な内部技術力を保持しているか、といった質問には直接回答しなかった。

同社は金融規制分野にも進出している。2026年1月、金融行為監督機構(FCA)はパランティアに、構造化・半構造化・非構造化のFCAデータを横断する企業内検索を試験する37万5001ポンドの概念実証(PoC)契約を発注した。

FCAはForbesに対し、12週間の試行はまだ進行中で、パランティアを長期的に採用するかについては何も決定していないと述べた。同プロジェクトは特定のサプライヤーやソリューションへのコミットメントではなく、あくまで評価だと説明した。

同当局によれば、パランティアは競争的調達プロセスを経て最高得点を得た入札者だった。試行期間中、同社は管理者ではなくデータ処理者として機能し、暗号鍵はFCAが保持する。データは英国内でホストされ、パランティアが自社製品の訓練に使用することはできず、パイロット終了時に削除される。

これらは異なる組織との別個の契約だが、パランティアの役割がいまや英国政府全体にどれほど広がっているかを示している。

その魅力は、複雑なデータセットを統合し、機密性が高く業務上重要な環境における意思決定を支える能力にある。

パランティアは、自社の役割拡大が英国の公共部門にとって脆弱点を生んでいるとの見方を否定した。同社の広報担当者はForbesに対し、同社と連携する組織は自らのデータに対する完全な管理を維持しており、同社は管理者ではなくデータ処理者として機能していると述べた。顧客がデータの使用方法とアクセス権限を決定するという。

同社はまたベンダーロックイン懸念にも反論し、相互運用性はソフトウェアに組み込まれており、コードは軽微な変更のみで他プラットフォームへエクスポート可能だと説明した。同社のソフトウェアから離れ、データと知的財産を「困難なく」他所に移した例として、住宅・コミュニティ・地方自治省と内閣府を挙げた。

NHSデータ層の内側

NHSとの契約は、パランティアがプラットフォーム運用にいかに深く関与しているかを示している。

NHSイングランドはFederated Data Platformで処理されるデータについて引き続き責任を負い、パランティアは自らの指示のもとに処理者として機能すると述べている。公表されているプライバシー情報によれば、サプライヤーによるアクセスは制御・監視され、役割ベースで、システム運用に必要な目的に限定される。

2026年、NHSイングランドは、Federated Data Platformの一部を構成するNational Data Integration Tenant(NDIT)への管理者アクセス権を、少数のパランティア職員が持っていることを明らかにした。NDITは、Hospital Episode Statistics(病院診療統計)、救急医療情報、画像診断データ、医薬品データ、Personal Demographics Serviceの情報を含む幅広い全国医療データセットを処理する

NHSイングランドによれば、管理者アクセス権を持つパランティア職員はプラットフォームの設定、セキュリティ、構成を管理し、その他のパランティアのエンジニアや第三者サプライヤーは特定のプロジェクトやデータセットに限定されたアクセス権を持つ。アクセスはNHSの指示、セキュリティクリアランス、契約上の統制、監視の下に置かれる。

パランティアは、この種の管理者アクセスは政府向けテクノロジーサプライヤーにとって通常のものであり、同社のアクセスはNHSが承認した範囲に限られると述べた。同社によれば、プラットフォームにはきめ細かなアクセス制御と完全な監査可能性が備わっており、すべてのアクセスが記録される。

同社はNHSの患者データを所有しておらず、その従業員が独自の目的で情報を使用することはできない。しかし、インフラの一部を稼働させ続けるために特権的アクセスが必要なパランティアのエンジニアが存在するということは、システムが外部サプライヤーにいかに依存するようになったかを示している。これこそが議会が今問題視している依存の類型だ。

ベンダーロックインのリスク

ロンドン警視庁(メトロポリタン警察)ももう一つの例を示している。今年初め、同警視庁は刑事捜査に用いる情報分析の一部を自動化するため、5000万ポンドの契約案について承認を求めた。ロンドン市長警察・犯罪対策室(MOPAC)は発注承認を拒否した。

市長府は調達の進め方について「重大な懸念」があるとし、パランティアが真剣に検討された唯一のサプライヤーだったことから調達規則の「明白かつ重大な違反」があると述べた。また、警視庁は費用対効果を示すことに失敗したとも指摘した。

警視庁はForbesに対し、調達プロセスを経てパランティアに12カ月の契約が付与されたと述べた。またMOPACと協力してより長期の調達戦略に取り組んでおり、サプライヤーを選定する前に「この種の技術に関する市場を評価する」としている。警視庁の広報担当者は、「本紛争の迅速な解決」があれば「必要な技術を調達するため前進できる」と述べた。

警視庁は、裁判手続きが進行中であるため、具体的な疑惑についてはコメントしないと述べた。同庁は、以前の調達でなぜパランティアが真剣に検討された唯一のサプライヤーだったのか、またプロセスと費用対効果に関するMOPACの懸念を受け入れるのかについては答えなかった。

公共機関は、自らの業務の中核となり得るシステムを購入する際、有効な競争を必要とする。また、状況が変わった場合にサプライヤーを変更できる現実的な能力も必要である。

議会も同じ懸念を示している。科学・イノベーション・技術委員会は、ベンダーロックインを不可避のものとして受け入れるべきではないとし、政府に対し少数の外国テクノロジー・サプライヤーへの依存を減らし、調達を多様化し、戦略的に重要な分野で国内代替手段を育成するよう求めた。

NHS契約について、同委員会は政府に対し、2027年の解約条項の利用を検討し、代替能力を内部で開発するか、別の英国事業者を見つけるよう促した。

試されるのは、政府が重要なサプライヤーを、その技術を中心に構築されたサービスを混乱させることなく置き換えられるかどうかである。プラットフォーム置き換えが法外に困難になれば、根底にあるデータの法的所有権は必ずしも政府が主導権を握っていることを意味しない。

NHSイングランドはコメント要請に応じなかった。

回転ドア

人材と専門知識もまた、公共部門とそこに供給するテクノロジー企業の間を行き来している。

ダミアン・パーメンターは、英国国防省でAUKUS担当局長を務めた後、2025年7月に政府を離れ、パランティアのシニア・カウンセラーに就任した。ビジネス任命諮問委員会(ACOBA)は、その前職の責任範囲とパランティアの事業との重なりを審査し、当該任命に制約を課した。

元外務省局長で、国防省の第二事務次官も務めたローレンス・リーもまた、パランティアに最高経営責任者(CEO)付き地政学アドバイザーとして加わった。

同委員会は、リーが防衛、安全保障、レジリエンスにわたるデジタル変革を監督し、公務在任中にパランティアと面会し、同社との国防省契約に関連する業務に関与していたと述べた。同委員会は、彼の任用が公務在任中に下された決定と関連していると受け止められるリスクを指摘する一方、その解釈を退ける同省の理由も記録した。

専門知識を持つ官僚は、同じ分野で事業を営む企業にとって当然魅力的だ。技術的知見、調達経験、公共システムに対する理解は、両者にとって価値がある。

より多くの技術が外部サプライヤーから購入されるようになれば、依存はソフトウェアを超え、それを理解し管理するのに必要な専門知識にまで及ぶ可能性がある。

主導権を握るのは誰か

英国の政策は、主権的な技術能力への重きを強めている。デジタル・テクノロジーセクター計画は、地政学的環境の変化により、主権的AI、サイバーセキュリティ、半導体、高度な接続性を含む戦略的能力の重要性が増していると述べている。デジタル標準戦略もまた、AI、サイバーセキュリティ、高度な接続性を英国の安全保障と主権に結び付けている。

技術的主権は、政府があらゆるデータベース、クラウドサービス、分析ツールを自前で開発することを求めない。民間企業には、公共部門が再現するのに多大な時間と費用を要する技術や専門知識があることが多い。米国のサプライヤーを使うことが、直ちに英国が自らのシステムに対する支配を失ったことを意味するわけでもない。

英国には、依存する技術について、その利用に関するルールを設定し、データを安全に移行し、実効性ある代替手段を維持し、状況が変わればサプライヤーを置き換えられるだけの十分な技術的理解が必要である。

議会の警告は、これらのセーフガードが十分に強固でないことを示唆している。パランティアは、支援するシステムの規模と機密性ゆえに最も目立つ例だが、委員会はマイクロソフトとAWSへの依存についても懸念を提起した。

科学・イノベーション・技術省は、サプライヤー依存、ベンダーロックイン、そして政府が実務上どのように技術的主権を定義するかについての質問に応じなかった。

英国のデジタル化が進むにつれ、これらサプライヤーへの依存は無視しがたくなる。政府の技術戦略は、企業との協働を支持しつつ、英国内でより戦略的な能力を築くことを掲げている。

英国のデジタルインフラが、ごく少数の民間サプライヤーに依存する事態は避けるべきだ。それは、競争的な調達、信頼できる代替手段、そして必要に応じてプロバイダーを変更できるだけの十分な技術的専門性を維持することを意味する。

公的機関が現実的にサプライヤーを切り替えられないのであれば、依存はもはや調達上の問題ではなく、支配権に関わる問題となる。

forbes.com 原文

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