スタンフォード大学で友人になり、OpenAIで同僚になった3人は、同社を離れ、オープンウェイトモデルを使って企業向けAIを構築する新興企業Applied Computeを設立した。創業から15カ月後の2026年9月18日、同社は3億5000万ドル(約553億円)を調達し、ポストマネー評価額は32億5000万ドル(約5135億円)となった。
DeepSeek R1がオープンウェイトAIで起業する転機になった
中国の小規模AI研究所DeepSeekが2025年1月、オープンウェイトモデルR1を公開すると、シリコンバレーに衝撃が走った。中国の小規模研究所が米国勢より少ない資源でこれほど強力なモデルを開発したことに、テクノロジー業界の有力者も驚いた。マーク・アンドリーセンは「スプートニク・ショック」と投稿し、当時Scale AIの最高経営責任者(CEO)だったアレックス・ワンは「警鐘」と表現した。
OpenAIでも、3人の若手研究者がオープンウェイトモデルの可能性に気付いた。オープンウェイトモデルを最適化する基盤を構築できれば、大きな事業になると考えた。
「我々の考え方は、OpenAIの同僚の多くとは大きく異なっていた」と、ヤシュ・パティル(23)はフォーブスに語る。「オープンウェイトモデルが非常に優秀になるなら、OpenAIやアンソロピックが世界中のデータをすべて持ち、それを使って超大型モデルを訓練するとは考えていない。J.P.モルガンのような企業が、自社で重視する業務のために自社データでモデルを訓練するとみている。企業は決してデータを手放さないからだ」。
R1公開から5カ月後、パティルは同僚のリズム・ガルグ(24)、リンデン・リー(25)とOpenAIを退職し、Applied Computeを設立した。同社は企業顧客向けに独自のオープンウェイトモデルを訓練し、自社クラウドで稼働させる。
約553億円を調達し、評価額はわずか4カ月でほぼ2倍に
Applied Computeは2025年6月、2000万ドル(約31億6000万円)のシード資金を調達した。その後1年以内にDoorDash、エヌビディア、マイクロソフトなどの大口顧客を獲得した。
マイクロソフトのサティア ナデラCEOは2026年6月、企業向けAIの将来についてパティルと対談した。Applied Computeは米国時間2026年9月2日、評価額32億5000万ドル(約5135億円)で3億5000万ドル(約553億円)を調達する方向で交渉していると明らかにした。当時は条件が未確定で、金額が変わる可能性もあるとしていた。The Informationは調達計画の一部を先に報じていた。
2026年9月18日、Applied ComputeはシリーズC-1で3億3281万ドル(約525億8400万円)、シリーズC-2で1719万ドル(約27億1600万円)を調達した。合計は3億5000万ドル(約553億円)となり、ポストマネー評価額は32億5000万ドル(約5135億円)となった。
9月2日時点の計画では、エンジェル投資家のエラッド・ギルが資金調達を主導し、既存投資家のLux CapitalとKleiner Perkinsも参加する予定とされていた。パティルは、調達資金の大半を半導体の購入に充て、自社クラウドに「膨大な計算資源群」を構築する方針を示していた。



