火星通信衛星の引き渡しは2028年末、運用開始は2030年
ブルーリングの試験機「ブルーリング・パスファインダー(Blue Ring Pathfinder)」は、ブルーオリジンが開発した大型ロケット「ニューグレン(New Glenn)」に積まれ、2025年1月の初打ち上げで宇宙へ運ばれた。ブルーオリジンはこの初飛行で、通信、電源系統、飛行用コンピューターといった構成要素の動作を宇宙空間で確かめている。これから問われるのは、そこで試した技術を十分な速さで実用の水準まで高められると示せるかどうかだ。
NASAはブルーオリジンに対し、高性能の火星通信衛星を2028年12月31日までに引き渡すよう求めている。2030年までに火星で運用を始める計画を見据えた期限である。
NASAは、月面に拠点を築く計画「ムーンベース」の初回ミッションにも、ブルーオリジンの月着陸機「ブルームーン・マーク1エンデュランス(Blue Moon Mark 1 Endurance)」を使う。打ち上げは早くて2026年秋を見込む。
ベゾスの私財に頼る体制を改め、外部投資家を初めて受け入れる
今回の受注は、ブルーオリジンが創業以来初めて外部の投資家に門戸を開こうとしている時期に重なった。ニューヨーク・タイムズによれば、企業価値をおよそ1300億ドル(約20兆6700億円)と見積もったうえで、100億ドル(約1兆5900億円)の調達を目指している。
長年にわたりベゾスの個人資産に大きく頼ってきたブルーオリジンにとって、外部資金の受け入れは大きな路線変更となる。打ち上げにとどまらない宇宙事業へ規模を広げようとする動きとも重なる。それでも、1300億ドルという評価額は、競合するスペースXの企業価値と比べればごく一部にすぎない。


