OpenAIは9月1日に公開した声明で、同社としてこれまでで最も高度なサイバーセキュリティ向けAIモデルを「まもなく」投入すると明らかにした。これにより、AnthropicのClaude Mythosと真正面からぶつかるモデルが登場することになる。Mythosは人間の手を介さずに動く強力なサイバーセキュリティ機能を備えており、4月には金融業界と政府の双方で警戒が広がった。
OpenAIは最新モデルAstraを「まもなく」投入する計画だ。ただし同社は、このモデルの「最も高度なサイバーセキュリティ能力については、提供範囲を限定する」としており、その能力に触れられるのは選ばれたテスターだけになる。
OpenAIによれば、Astraには「開発中と公開前の双方で、より強固なセーフガード(安全対策)」が必要になる。同社は、Astraがすでに、未知のセキュリティ上の欠陥を見つけ出し、それを突く手口を「厳重に守られた多くのシステムを相手に」自律的に作り上げられる段階に達しているとしている。
今回のAstraの発表は、AnthropicがMythosのプレビュー版を公開してから数カ月後のものになる。プレビュー版の提供先は、アップルやエヌビディアなど審査を通過したパートナーに限られていた。それでも、金融サービスやOS(基本ソフト)、ブラウザーへの侵入に悪用されうることが認識され、専門家の間には懸念が広がった。
OpenAIはAstraの開発の一部を先送りし、サイバー攻撃への悪用を防ぐ対策を強化したうえで検証した。そのなかには、有害な依頼を確実に拒むようモデルを訓練することも含まれる。
1日の声明によると、Mythosと同じくAstraも、人手を介さずに、実在するシステムに対するゼロデイ攻撃(未公表の脆弱性を突く攻撃)のコードを作り出せる。
Astraがいつ投入されるのかは正確にはわかっていない。OpenAIは、提供を始めた時点でのAstraのセーフガードについて、「悪用される恐れに備えるため、意図した利便性を下回る制限がかかる」と見込んでいる。そのうえで、Astraの高度なサイバーセキュリティ機能は、まず少人数のアルファテスター(初期段階の試用協力者)に提供されると付け加えた。
AstraはMythosの競合になるとはいえ、投入の時期ではMythosに数カ月の遅れを取っている。Anthropicのモデルは4月にプレビュー版が公開され、6月には最初の一般提供版が登場した。Anthropicは、Mythosに悪用を検知する新機能を組み込むと説明し、より高度な版のMythosについては「着実に提供先を広げる」ため、米国政府と協力していると述べていた。MythosとAstraはいずれも、作業の効率という点では人間のサイバーセキュリティ担当者を上回る。ただしOpenAIとAnthropicのどちらも、間違いを正したり、モデルがうまく捉えきれない現実世界の文脈を確かめたりするには人間の手が要ることを認めている。



