ウェアラブルカメラ大手のGoPro(ゴープロ)は米国時間9月1日、AIインフラ向け光学機器メーカーと2億8500万ドル(約456億円)で合併すると発表した。併せて、今後はAIインフラや国家安全保障向けの光学・画像技術の開発にも参入し、事業の多角化を図る方針を明らかにした。
GoProを買収するのはスターマン・ホールディングス傘下の非上場企業スターマン・オプティカルだ。同社はデータを光信号に変換して高速通信を可能にする光トランシーバーを製造している。
この2億8500万ドル(約456億円)の取引により、GoProの株主には1株あたり1.14ドルが支払われ、新会社の株式の約10%を引き続き保有することになる。また両社によると、合併手続きの完了後にはGoProが抱える約9200万ドル(約147億円)の負債も清算されるという。
GoPro創業者のニコラス・ウッドマンCEOは声明で、今後は「カメラ、光学機器、AIインフラ」を含め、AIや防衛、政府関連ビジネス、ロボット工学、航空宇宙向けの技術開発へと事業を拡大していくと述べた。その一方で、既存の消費者向け製品については引き続き「全面的にサポート」し、上場も維持するとしている。
この発表を受けてGoProの株価は9月1日に急騰し、1.25ドル台に乗せた後も40%を超える上昇を維持している。
ブルームバーグの報道によると、この発表のわずか2日前、「Markiplier」のYouTubeチャンネルで知られるクリエイター兼映画監督のマーク・フィッシュバックがGoPro株の8.5%を取得し、同社の筆頭株主となった。フィッシュバックは取材に対し、同社の株価は「過小評価されている」と指摘し、同社の成功を後押ししたいと語っていた。
彼のYouTubeチャンネルは約3900万人の登録者を誇り、今年公開された初監督映画『Iron Lung』は、300万ドル(約4億8000万円)の製作費に対し世界興行収入が約5000万ドル(約80億円)と大ヒットを記録した。彼の株式取得が明らかになった後、GoProの株価は上昇に転じ、8月31日には一時46%の急伸を見せていた。
AIインフラ向け技術の提供へと事業転換を図る企業はGoProだけではない。2017年に暗号資産マイニング企業として設立されたコアウィーヴは、クラウドおよびAIインフラのプロバイダーへと転身し、2025年の上場で創業者らに数十億ドルをもたらした。
その一方で、成功に至っていないケースもある。スニーカーブランドのAllbirdsは4月に靴事業を売却してAIインフラ企業へ転換すると発表し、6月には社名を「スマートバード」へと変更した。これらの動きを受けて同社株は一時急騰したものの、年初来では約42%の下落となっている。
ウェアラブルカメラの代名詞とも言えるGoProは、2014年に公開価格24ドルで上場を果たした。しかし近年は株価の低迷が続いており、今週急騰するまでは年初来で55%以上下落していた。フィッシュバックによる株式取得のニュースが報じられる直前にあたる8月28日の終値はわずか0.60ドルだった。



