今週発表された新しい調査によると、監査部門のリーダーの93%が何らかの形でAIを利用していると回答したものの、AI戦略を策定しているのはわずか38%にとどまった。ガートナーが743人の監査専門家を対象に実施した調査では、AIの利用は事前計画や草案作成といった個別の業務に集中しており、同社が言うところの「中程度の生産性向上」にとどまっていることが分かった。監査専門家の間でAIの導入は進んでいるものの、多くのチームがいまだにこの技術の価値を明確に定義し、伝えることに苦戦しているとアナリストは指摘している。
法律業界の状況も同様だ。クリオ(Clio)が実施した、個人事務所および小規模事務所を対象とする2026年の調査では、個人弁護士の71%、小規模事務所の75%が業務でAIを使用していることが判明した。導入率の高さにもかかわらず、個人・小規模法律事務所の半数以上が、AIの利用に関するポリシーを策定していない。
これら2つの調査結果は、多くの専門サービス業の経営者がまだ熟考しておらず、価格に反映できていない、より大きな問題を示している。AIの導入は順調に進んでいるが、ビジネスの資金源となる課金モデルは変わっていない。そして、時間を売るすべての企業にとって、請求業務における難問に向き合うべき時が来ている。
容赦なき計算
事務所は時間を請求する。AIはその時間を消費するタスクを圧縮する。人間なら8時間かかっていた同じ仕事が、今では4時間で済み、請求額は半分になる。事務所は効率的になると同時に、収益性が低下したことになる。
クリオのデータは、この課題を具体的な数字で示している。請求可能なタスクの約4分の3は生成AIによって自動化できる可能性があり、これは5時間かかっていた請求可能なタスクが1時間で済むようになることを意味する。しかし、依然として時間単位で請求しているため、基本的にはクライアントに80%の割引を提供したことになる。
個人事務所や小規模事務所では時間給のみの請求が減少しているものの、大半はAIに対応した価格改定を行っていない。クリオの調査によると、中堅企業の51%、大企業の46%が価格変更を行っていないのに対し、個人事務所の86%、小規模事務所の78%が価格を一切変更していない。
クリオの創設者兼最高経営責任者(CEO)であるジャック・ニュートンは、変化が近づいていることを確信している。
「AIはついに、時間請求(ビラブルアワー)の終焉を告げる弔鐘となるかもしれない」と彼は話す。「この効率性の向上により、企業は提供する価値により合致した、定額制(フラットフィー)などの柔軟な課金オプションの導入を迫られている」
フォルミカ・ロー・グループ(Formica Law Group)の創設者であるステファノ・フォルミカは、クライアント側の視点から同様のシフトを説明する。
「専門サービス業は長きにわたり、価値を時間と結びつけてきた。AIはその前提に疑問を投げかけている」とフォルミカはインタビューで語る。「クライアントは結局のところ、5時間ではなく10時間の仕事をしてほしいから弁護士を雇うのではない。適切な戦略、適切な判断、そして最善の結果を求めて雇うのだ」
市場に取り残される企業
定額制の合意はここ10年で増加しており、企業は現在、2016年当時よりも大幅に多くの案件をこの方法で請求している。
クリオのレポートによると、大半の事務所は生産性向上による利益の損失を自ら吸収し、請求可能なアウトプットが減少するのを見過ごしたまま、価格を据え置いている。
フォルミカは、この効率化こそが、実は事務所が見落としがちなチャンスを生み出すと主張する。
「人員削減のためだけにAIを利用している企業は、より大きなチャンスを逃している」と彼は言う。「テクノロジーによって、これまで反復作業に費やされていた時間が専門家に戻されるならば、その時間をクライアントへの理解を深め、戦略を練り、より頻繁にコミュニケーションをとり、クライアントが本来その専門家に期待して依頼した高度な業務を行うために再配分できる」
取り戻した時間はどこかに充てられなければならない。クライアントの業務に再配分されれば、より高い料金を請求する根拠となる。しかし、活用されずに放置されれば、生産性はかつてないほど向上しているように見えながらも、事務所の収益が静かに減少していく原因となってしまう。
クライアントが買っているもの
クライアントの71%が固定料金や定額料金を好むことが分かっている。それなのに、なぜ時間請求がいまだに存在しているのだろうか。不都合な真実として、時間請求は常に代理指標にすぎなかったということだ。クライアントは時間を買っていたわけではない。彼らは結果を買っていたのであり、時間は全員が合意した測定基準にすぎなかったのだ。
「AIによって情報はますます入手しやすくなるが、情報へのアクセスは判断力と同じではない」とフォルミカは言う。「事実を知ることや判例を見つけることは、仕事の一部にすぎない。それらの事実が特定のクライアントにどのように適用されるかを理解し、いつ交渉し、いつ強く出て、重大な局面をどう切り抜けるかを知るには、依然として経験と人間の判断力が必要だ」
ガートナーの調査結果は、真の代替手段が整う前に、AIが現行のシステムを崩壊させつつあることを示唆している。監査チームは草案作成や事前計画といった、目に見えやすく自動化が容易な領域でAIを使用している。その一方で、監査テストに適用しているのは3分の1未満、品質保証に適用しているのはわずか12%にとどまる。
AIは監査業務を迅速化しているが、必ずしも品質を向上させているわけではない。クライアントは結果が出る早さには気づくものの、業務の質自体が本当に向上したわけではないため、そこに上乗せ料金を支払うことはない。
反論
過去30年間にわたり、時間請求は何度も終焉が宣言されてきたが、依然として存続している。それが続いているのは、シンプルで分かりやすく、業務範囲のリスクをクライアントに転嫁できるからであり、また代替案を採用するには事務所側が正確に見積もる必要があり、それが極めて困難だからだ。
データには限界もある。クリオは法律事務所向けに業務管理・請求ソフトを販売しており、事務所が請求業務を近代化すべきだという調査結果は彼らのビジネスにとって好都合だ。ガートナーは、AI戦略を持たない組織向けにAI戦略の調査レポートを販売している。両社とも、自らの調査結果から利益を得られる立場にある製品を扱っているのだ。
大して何も変わらない可能性もある。すべての競合他社が時間制で請求し、すべての競合他社がスピードアップすれば、市場は単に1時間あたりの単価を引き上げるだけかもしれない。一部の企業はすでにこれを実践しており、AIを導入して価格調整を行った企業のうち、4分の1が料金を引き上げている。
値下げを免れて生き残る領域は、狭く特定のものに限られる。時間を売り物にし、価格設定の変更を検討することなくAIを導入する企業は、ある決定を下したことになる。それは、高くつく決定かもしれない。
今四半期に取り組むべきこと
最も多くの収益を上げている3つのサービスを挙げ、それぞれ18カ月前と現在でどれだけの時間がかかっているかを算出してみてほしい。もし、そのうちのいずれかが大幅にスピードアップしているにもかかわらず、請求価格が変わっていないとすれば、それがあなたの直面している問題の大きさだ。
次に、取り戻した時間を何に使えるかを決める。それをクライアントとのコンタクトを増やすことや、より深い戦略立案に充てることは、価格設定において強力に主張し維持できる根拠となる。単に同じ単価でより多くの業務量をこなすために充てるのは、終わりなきトレッドミル(ランニングマシン)に乗るようなものだ。
最後に、その仕事が何を生み出しているかを測定する。企業がどれだけAIを利用しているかを追跡することと、それがどれだけの収益をもたらしているかを追跡することは別物であり、時間制で請求している企業は、何十年もの間、消費された時間ばかりに焦点を当ててきた。
価値基準の価格設定(バリューベース・プライシング)への移行には、実際にその価値を把握している必要がある。それには、価格を正当化できるほど自社の数値を熟知していなければならない。ほとんどの経営者は、この時点で、自社のAIツールが自社のマージンを把握していないことに気づく。社内の誰もそれを記録していないからだ。
「AIは最終的に、専門サービスの基準を引き上げることになると私は考えている」とフォルミカは言う。「日常的な業務がより迅速かつ容易になれば、クライアントが実際に何に対してお金を支払っているのかを疑問に思うのは当然だ。その答えは、単に誰かがタスクを完了するのに費やした時間の長さではなく、専門知識、迅速な対応、戦略、信頼、および成果でなければならない」
クライアントは何に対して料金を請求されているのかを知りたがるようになる。すぐに答えを用意できている企業こそが、価格設定を行うことになるだろう。



