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北米

2026.09.03 13:30

米財務省の対イラン新制裁は封鎖ではなく競売、値がつくのは「ドル決済の権利」

K I Photography - stock.adobe.com

ホルムズ海峡で通航料を払えば制裁、拒めばイランが報復

市場は今回の制裁を、原油が何バレル失われるかという問題として扱っている。だが先に変わっているのは地図のほうだ。OFACは8月24日、ホルムズ海峡でイランが課す通航料をめぐる指針を改めた。米国人であるかどうかにかかわらず、安全な通航と引き換えに制裁対象のイラン側主体へ支払えば、処罰の対象になりうる。金銭がまったく動かない場合でさえ、相手からの情報提供の求めに応じるだけで同じリスクを負う。かつて自由だったホルムズ海峡の通航は、料金と許可を必要とする仕組みへ置き換わった。その仕組みに、米国側が別の値札を貼ったことになる。テヘランに払う船主はワシントンを敵に回し、拒む船主はテヘランを敵に回す。テヘラン、ワシントン、船主が作るこの三角形に決着をつけるのは、軍の提督たちではない。保険、用船、コンプライアンスの各部署である。

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中国はイラン産原油から乗り換え、イラクからトルコへ抜ける管路が価値を増す

物理的な地図も、包囲を軸に描き直されつつある。イラン産原油の売り物が乏しくなったため、中国の製油会社はブラジル産やイラク産の油種へ乗り換えを進めてきた。イラクにとって北向きのルートは、そのぶん価値を増した。

ブルームバーグの報道によれば、バグダッドとアンカラは8月1日、キルクークからトルコ南部ジェイハンへ向かうパイプラインで日量75万バレルまでを確保する1年間の暫定取り決めに署名した。トルコの国営石油会社は同じ時期に、BPが主導するキルクークの油田再開発コンソーシアムへ15%を出資している。中東専門メディアのアムワジが伝えているとおり、アンカラは包括的な合意の締結をあえて先延ばしにしている。パリで下された仲裁裁定の扱いと、トルコ自身がこの管路へ原油を流す権利とを、交渉の人質に取っているためだ。

そしてトルコがイランと結んでいた25年間のガス輸入契約は7月末で満了し、後継となる長期契約は発表されていない。本当の試練は、最初から代金の決済経路にあった。契約満了後も、埋め合わせとなるガスの供給は動いている。二次制裁という競売の枠組みで見れば、読み取るべき合図はガスが止まったことではない。契約が更新されなかったという事実そのものである。

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イランは国連へ書簡で反撃、米国内からは逃げ道のない制裁に疑問

イランの対応はここまで、法的な手段と言葉にとどまっている。反撃がその2つに限られていること自体が、1つの情報である。アッバス・アラグチ外相は国連事務総長、安全保障理事会の議長、加盟各国へ書簡を送った。自らが「経済テロ」と呼ぶ行為への非難を求め、この作戦に加わらないよう各国政府へ要請している。イランの外交と国防を統括する最高安全保障委員会で事務局長を務めるモフセン・レザイは、新たな戦争になれば「この地域から1滴の石油も出ていかなくなる」と警告した。ただしこの威嚇は、湾岸での積み出しを継続的に止める事態には至っていない。当のトランプ大統領は、アルジャジーラに対して交渉を「急いでいない」と語った。

この作戦にとって、イランが書簡を書き続けることよりも危険なのは、米国内の議論から出てきた設計そのものへの批判である。ワシントンを拠点に米外交政策を追う書き手シャルベル・A・アントゥンは、政治専門メディア「ザ・ヒル」への寄稿で、経済版のDデーに必要なのは「絞首索だけではなく、逃げ道だ」と論じた。イラン側に明確な出口を用意しないまま圧力をかければ、順守は締まる一方で緩むことのない仕掛けへ変わる。そして第三国は、その見通しをあらかじめ計算に入れるというのがアントゥンの主張である。

2番目に規則案を受ける銀行が、制裁作戦の行方を決める

注目すべきは、行政手続きの日程である。バンク・ミスルに対する意見公募の時計は、規則案が連邦官報に掲載された時点で動きはじめ、そこから30日間走る。2番目に規則案を突きつけられる金融機関がどこになるのか。それによって、米国が今後も差し替えの利く相手を選び続けるのか、それとも代わりの見つけにくい相手へ手を伸ばすのかが分かる。そして中国の買い手に触れる制裁指定が出れば、その瞬間に競売は静かでなくなる。8月21日に切れた期限は、戦争も合意ももたらさなかった。生まれたのは、入札の手続きである。最初の出品物は、すでに競売台の上に載っている。

forbes.com 原文

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