雇用市場に関するレポートや記事の見出しは、誰が失業して誰が職を得たか、あるいは職種や業界のデータに焦点を当てることが多い。失業率が安定していれば、雇用市場は一般的に好調であると見なされる。
だが、それは誤りだ。
雇用の回復が力強いものであっても、ビジネスパーソンは本来の価値より低い条件での再参入を余儀なくされている。
米労働統計局(BLS)が2026年8月27日に発表した経済ニュースリリース「Displaced Workers Summary(離職労働者概要)」によると、2020年から2025年の間に、740万人の米国人労働者が労働市場から押し出された。その理由は以下の通りだ。
・支店、工場、事業所の閉鎖
・ポジションそのものの廃止
・業務需要の不足
また、全体のうち190万人は、BLSが「Long-tenured displaced workers(長期勤続離職者)」、すなわち同一企業に3年以上勤務していた従業員に分類する人々だ。2023年から2025年の間にフルタイムの賃金労働を失い、2026年1月までに再就職を果たした190万人の長期勤続離職者のうち、8割強にあたる160万人が再びフルタイムの職を得た。
一見すると好ましい状況に思えるかもしれない。しかし、データをさらに深く掘り下げてみると、実態は数値ほど好調ではないことがわかる。再就職したフルタイム労働者のうち、前職と同等以上の給与を得ている人はわずか49%にとどまり、2024年1月の調査時の62%から低下しているのだ。
再就職した労働者の給与が減少している
AIによる混乱や、企業が主張するその他の構造調整によって、多くのビジネスパーソンが仕事を失っている。そうした労働者が再就職できたとしても、多くはかつての給与水準に戻れていない。これは、彼らがより低い役職で労働市場に再参入しているか、自身の価値を低く評価されて低い給与の仕事を受け入れていることを示唆している。
これは、新たに浮上しているキャリアのリスクを提起している。レイオフ(一時解雇)や全体的な失業を減らすこと以上に、雇用市場に影響を与えるもう一つの問題、すなわち「自身のポジションが消滅する前よりも、自分の経験が低く評価される労働市場に再就職すること」を考慮する必要がある。
例えば、解雇された労働者は、生活費を補う必要があり、一定の雇用安定性を得られるという理由だけで、より低い役職を受け入れ、結果として給与の低いポジションに甘んじることを余儀なくされる場合がある。
あるいは、キャリアの転換を選択し、安定した地位を築き直すまで、再び未経験者同等の「エントリーレベル」から再スタートすることもある。
しかし、雇用主が、同等の要求水準や同じレベルの職務であるにもかかわらず、その価値に見合う報酬を支払わずに労働者を雇用している可能性もある。



