新卒社員には研修があり、中途採用にはオンボーディングがあるが、一般社員から昇進してマネージャーになった人には何もない。辞令ひとつでマネージャーを任され戸惑っている人が非常に多いことが、コーチングサービスの申込書から見えてきた。
コーチングプラットフォーム事業などを展開するZaPASS JAPAN(ザッパスジャパン)は、コーチングサービス「ZaPASSコーチング」の申込者から役職別にランダムに抽出した1050人を対象にアンケート調査を行った。それによると、申込理由に「役職・役割が変わった」ことをあげた人は、マネージャーが7.7パーセントでもっとも多く、一般社員の約8倍となった。役員は約2パーセント、経営者は0件だった。これだけを見ても、マネージャーの戸惑いがわかる。

またマネージャーの申込理由には、「上司」という言葉が他の立場の人よりも多く登場している。ここで言及されている上司とは、つまり相談相手だ。1on1では相談を聞く立場に固定される。部下に弱いところは見せられない。自由意見ではこんな声が聞かれた。
「マネージャーになると上司が少なくなることからアドバイスをいただける機会が減った」
「気軽に、かつ定期的に相談できる人が周囲にいない」
「管理職としての立場もあり、周りに相談しづらいことや、自分一人で抱えこんでしまう場面も多く……」

マネージャーがコーチングサービスで相談したい内容は、「自分の進路」と「人・組織」つまりマネジメントに関することの2つがメインとなった。一般社員は自分の進路、役員は人・組織、経営者は事業と、それぞれの立場を示唆するものが1つずつだったが、マネージャーだけは2つの課題を抱えて荷が重い状態になっている。
そんな大きな悩みを抱えたマネージャーが社内に相談できる人や制度がないとなれば、社外にそれを求めるしかない。だが、社外でコーチングを受けると転職に目が向いてしまうのではないかと心配する声もある。調査では、それは杞憂であることが示された。マネージャーは一般社員よりも転職意向が少ない。今の役割をどう果たすかに意識は向いているという。

本来なら社内にマネージャーのための十分な研修や相談ができる制度を整えたいところだろうが、それが困難ならば外部のサービスを会社で導入することも考えられる。ZaPASS JAPANパーソナルコーチング事業部事業責任者の大久保亮佑氏は、この調査を通じて、昇進したマネージャーのためのオンボーディングの必要性を感じたと話している。そしてそこで大切なのは、「マネージャー向けの正解」ではなく、評価と関係のない場所で自分の言葉にしていく時間だとも言及している。マネージャーの、人に言えない重圧が明らかにされただけでも、この調査の価値はあるだろう。
出典:ZaPASS JAPAN 昇進した人は、社外に「駆け込み寺」を探しに行く。コーチング申込者1,050名の分析でわかった、マネージャーの孤独



