午前10時の会議で、あなたが何かを発言したとする。誰も反応しない。10分後、より上位の同僚がほぼ同じことを言うと、会議室の空気が一変する。「いい指摘だ」。誰かがホワイトボードにそれを書き、その横に同僚の名前を添える。
あなたはその場に座ったまま、いま何が起きたのかと考える。彼の言い方のほうが明確だったのか。単に自分の発言が聞き流されたのか。それとも、彼が言ったことで、そのアイデアはなぜかより優れたものになったのか。
研究によれば、最後の可能性は、それほど奇妙なものではない。私たちはアイデアを、その中身だけで判断しているわけではない。誰がそのアイデアを伝えるかによって、私たちがどれだけ注意を向けるか、どれほど優れたものだと考えるかは左右される。
キンバリー・エルズバックとロデリック・クレイマー、ハリウッドの映画会社幹部が脚本のピッチ(売り込み)をどう評価するかを調査した際、この現象を目の当たりにした。幹部たちは、売り込まれている物語だけに反応していたわけではない。売り込んでいる人たちについても、創造的な仕事を生み出せるタイプの人物に見えるかどうかを含めて判断していたのだ。
立場によって、耳を傾けられる内容は変わる
集団における地位と影響力に関する研究は、地位が高いと認識されている人ほど、より多くの注意を集め、集団の意思決定に対してより大きな影響力を及ぼす傾向があることを繰り返し示してきた。
これは、繰り返されたアイデアがすべて盗まれたものだという意味ではない。2人目の説明のほうが優れていることもある。議論が進み、場が受け入れやすくなっていることもある。2人が独立して同じ結論にたどり着くこともある。
だが、自分のアイデアが、より上位の誰かに繰り返された途端に何度も説得力を増すように見えるなら、注意を払う価値がある。
そして、そうしたことが起きにくくなる方法はある。
1. アイデアをただ投げかけるだけにしない
次の2つの発言を比べてみてほしい。
Aさん:「リリース日を見直したほうがいいかもしれません」
Bさん:「リリースを2週間後ろ倒しにすべきだと思います。そうすれば、もう一度顧客テストを行う時間が取れますし、その結果を実施か中止かの判断材料にできます」
根底にあるアイデアは似ているが、Bさんは相手が反応しやすい材料を提供している。提案と理由、次のステップが含まれるからだ。
これは、あなたが若手社員やキャリアの浅いメンバーである場合には、さらに重要になる。単に可能性を提示するのではなく、明確な提案を行い、それがうまくいくと考える理由を説明することが必要だ。アイデアが具体的であるほど、人はそれに反応しやすくなり、誰が提案したかも記憶しやすくなる。



