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AI

2026.09.04 12:05

米国は中国にAI半導体を渡すまいとしたが、クラウドが抜け穴を生んだ

stock.adobe.com

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中国のAI開発を遅らせるという米国の戦略は、この四年間、単純な前提の上に成り立ってきた。半導体を押さえれば結果も押さえられるという前提である。国境で半導体を止めてしまえば、モデルは作れない。

そのワシントンが、今や静かに前提の破綻を認めつつある。

トランプ政権下の商務省は、新たな輸出管理規則の草案を作成している。この規則が狙うのは、半導体そのものの物理的な移動ではなく、半導体への遠隔アクセスである。標的が遠隔アクセスに置かれるのは初めてのことだ。タイやシンガポールといった第三国のデータセンターを経由して中国のAI企業がエヌビディアのGPUの計算能力を借りることを、この規則は禁じることになる。米メディアのThe Informationが先週報じた。草案は早ければ9月にも業界団体に回覧される可能性がある。

この転換は技術的な細部の話に聞こえる。だが実際には、一つの敗北宣言である。半導体をめぐる戦いの物理的な戦線はすでに突破され、戦場は、技術スタックのなかでも米国の法律がそもそも取り締まるようにできていない層へと移りつつあるのだ。

幻想を壊したモデル

直接のきっかけは、中国のスタートアップである。7月、Moonshot AI(ムーンショットAI)は2.8兆パラメータのモデル「Kimi K3」を公開した。その性能は、米国の最先端システムに迫っていた。米国から見れば、落ち着いてはいられない水準だ。

米大統領府科学技術政策局(OSTP)のマイケル・クラツィオス局長は、Moonshot AIがタイに置かれたエヌビディアのGB300搭載サーバーにアクセスしてこのモデルを訓練したと公然と指摘した。さらに同社は、米国のモデルを大規模に蒸留(distillation。既存モデルの出力を教師データとして使い、その能力を別のモデルに写し取る手法)するための高度な社内プラットフォームを構築し、検知を逃れるためにアクセス経路を切り替えていた、というのがクラツィオスの主張である。Moonshot AIはこの指摘に公式には反応していない。

個々の主張が裏づけられるかどうかはともかく、そこから読み取れる戦略上の含意のほうは揺るがない。中国のハイパースケーラー(自前で巨大なデータセンターを運用する大手事業者)は、タイ、マレーシア、日本のデータセンターを通じてエヌビディアの計算能力を利用してきたと伝えられている。バイトダンス、アリババ、テンセントなどがそこに含まれる。

輸出管理の枠組みが定めていたのは、半導体をどこへ出荷できるかである。誰がそこにログインできるかについては、何も書かれていなかった。

新しい規則がふさごうとしているのは、この抜け穴である。しかも、抜け穴は小さくない。エヌビディアの最先端半導体は中国の国土に持ち込めないかもしれないが、中国の技術者たちは法的に安全な距離を保ったまま、その半導体を使って訓練を続けてきた。

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翻訳=酒匂寛

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