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AI

2026.09.04 12:05

米国は中国にAI半導体を渡すまいとしたが、クラウドが抜け穴を生んだ

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法律のない規則

ワシントンがあまり触れたがらない問題がある。おそらく、そもそもこれを実行する権限がないのだ。

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輸出管理を専門とする弁護士たちによれば、現行法のもとで商務省が半導体への遠隔アクセスを規制することはできない、というのは法曹界の共通認識だという。これを手当てするのがRemote Access Security Act(リモートアクセス安全保障法案)である。クラウド経由のアクセスについて商務省産業安全保障局(BIS)に管轄権があることを明文で認めるもので、1月に賛成369、反対22で下院を通過した。ところが、その後は上院銀行委員会で店ざらしになっている。

つまり政権は、先に規則を書き、法律が後からついてくることを期待している。この政策分野を見てきた人間にとって、この順番は軽視できない。バイデン政権期のAI拡散規則は2025年5月に撤回され、それに付随するデューデリジェンス(取引先の適格性を確認する義務)の要件も執行されないまま放置された。さらにさかのぼれば、段階的な許可制度を導入しようとした試みが、業界の反発を受けて発表からおよそ一週間で崩れている。米国の半導体政策は、野心的な規則、法的な穴、そして静かな撤退という繰り返しに陥っている。この繰り返しを、北京はワシントンの誰にも劣らず正確に読んでいる。

民間が担う取り締まり

むしろ長く尾を引くのは、新しい規則がまったくないところで進んでいる動きのほうかもしれない。

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エヌビディアは、立法による規制の脅威と自社が負うリスクの両方に直面し、民間による取り締まりの仕組みを自前で築き始めた。同社は現在、シンガポール、マレーシア、日本を含むアジア市場で顧客のホワイトリストを運用している。フィナンシャル・タイムズによれば、コンプライアンス審査の厳格化により、既存のアジア顧客の半数以上が承認済み購入者のリストから外された。とりわけ打撃が大きかったのは、AI向けの計算能力の貸し出しを事業のすべてとするネオクラウド事業者である。エヌビディアの社員は、顧客のデータセンターに直接足を運び、施設が実在するか、サーバーが実際に設置されているか、エンドユーザーに問題がないかを確かめているという。

これが何を意味するかを考えてみてほしい。AI時代でもっとも重い意味を持つ輸出管理の執行を担っているのは、税関職員でも商務省の官僚でもなく、時価総額が数兆ドル(数百兆円)に達する一企業の営業コンプライアンス部門になりつつある。エヌビディアは、クラウドのなかにしか存在しない国境の警備員という役回りを、いわば押しつけられた形だ。5月に同社のCEOは、中国のAI半導体市場をファーウェイに「ほぼ明け渡した」と語っている。明け渡したはずの市場への入り口を、現在は自社が見張っていることになる。同社にとって座りの悪い立場だ。そして米国の政策にとっても、この立場は長くはもたない。一民間企業の利害が国家安全保障と一致し続けることを前提にした政策であり、その一致が保たれているかどうかを四半期ごとに問われることになるからだ。

取り締まりの網は、ほかの場所でも狭まっている。今月、台湾の検察当局は、台湾国内で使用すると偽って申告された130台のB300搭載サーバーをめぐり、エヌビディアの社員とスーパーマイクロの現・元関係者を含む9人を起訴した。このうち74台は、残りが差し押さえられる前に中国へ渡っていた。

カリフォルニア州では、ALX Solutions(エーエルエックス・ソリューションズ)の運営者が、シンガポールと日本に架空のエンドユーザーがいると申告したうえでH100を200台以上購入したとして訴追された。

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翻訳=酒匂寛

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