米海洋大気局(NOAA)は8月中旬、連邦機関として30年以上ぶりとなる手続きをひっそりと進めた。米企業による太平洋の海底区域からの電池用金属の採掘などに関する申請について審査を進めることと、それよりも広大な別の太平洋海底区域の探査に関する申請について、正式な環境影響評価(環境アセスメント)に入ることを公表した。
NOAAは8月19日、カナダの深海探査・採掘企業The Metals Company(ザ・メタルズ・カンパニー=TMC)の米国法人TMC USAによる統合申請を連邦官報に掲載した。この申請は、太平洋の約6万5000平方キロメートルの深海区域を対象に、探査ライセンスと商業採取の許可を同時に求めるものとなっている。この区域の海底には、ジャガイモ大の鉱物団塊(ノジュール)が6億1900万トン散在すると推定されている。
その2日前、NOAAは、TMC USAが探査を申請していた太平洋の別の深海区域について、環境影響評価書(EIS)を作成する意向も通知していた。対象となる区域の広さは12万2000平方キロメートルに及び、鉱物団塊が10億2000万トン存在すると推定されている。両区域を合わせると、ニッケルやコバルト、マンガン、銅を含む岩石が推定で16億トンあまり存在する。これらの申請は1980年の米国法に基づいて提出されており、この法律を国際水域に対する有効な権限の根拠として認めている外国はほとんどない。
この先もどうか読んでほしい。これはたんなる小型株関連の話題などではなく、もっと大きな話だからだ。今回の動きは、地球表面のおよそ3分の2を占め、どの国の主権も及ばない海域を誰が支配するかをめぐる現在進行形の試金石であり、また向こう10年、資源をめぐる米国と中国の競争がどのように繰り広げられるかを占うものでもある。
「深海底の鉱物資源に関する米国政府の大統領令は具体的な懸念を引き起こしています」。深海底の資源を管理する唯一の国際機関、国際海底機構(ISA)のレティシア・レイス・デ・カルバーリョ事務局長は声明でそう述べている。カルバーリョによれば、米国は30年あまりにわたり、ISAの活動の「信頼できるオブザーバーで、重要な貢献者」だった。だが、その米国が、もはやISAの許可は必要ないという立場を取るようになったのだ。



