リーダーシップ

2026.09.01 09:26

医師としての20年が教えてくれた、優れたリーダーになるためのスキル

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医師になることは、忍耐の訓練だった。私のトレーニングは大学から始まり、その後15年間にわたり、全米各地の機関で医学部、レジデント(研修医)、フェローシップ(専門研修)を経験した。すべてのトレーニングをようやく終えたとき、私はそれまでに蓄積したスキルと知識を活かし、画像下治療(インターベンショナル・ラジオロジー)の専門医としてがん患者の治療にあたった。

やがて私はスクラブ(手術着)を脱ぎ、新しいことに挑戦することを決意した。医療従事者が日々直面し、患者に本来提供すべき質とスピードでのケアを妨げている深刻な課題を解決したかったのだ。自分ならこの問題を解決できると信じていたが、同時に自分が何を「知らない」かも理解していた。そして、知らないことは山ほどあった。長年医学の世界に没頭してきた私にとって、起業することは、15年はおろか何の公的なトレーニングも受けていない状態から、険しい新たな学習曲線を上ることを意味していた。

現在、これまでで最も成功している企業を経営するなかで、起業家として最も驚いたのは、医療の現場で過ごした時間が、創業者という新たな役割にいかによく備えさせてくれていたかを実感したことだ。真の才能を見極めチームを構築する方法、メンターシップの重要性、幸福で生産性の高い職場を率いるうえで譲れない要素——これらのスキルは、私が創業したどの会社にとっても不可欠なものであり、そのすべては医師として学んだ教訓に行き着く。

医療におけるリーダーシップの秘訣:徒弟制度

研修医になると、即座に生徒と教師という2つの役割を同時に担うことになる。自分より先輩の全員から学び、後輩の全員に教えるのだ。医学教育の構造全体が、段階的な専門知識、明確なキャリアラダー、そして後輩の育成に時間を投資するという期待に基づいて成り立っている。これは臨床現場の文化に深く組み込まれているため、ほとんどの医師は意識することなく、ごく自然に実践している。

その後、現役の臨床医となってからは、患者の前にいるとき以外、チームの誰にも私のことを「先生(ドクター)」と呼ばせないようにした。医療における階級制度は厳然として存在し、時には必要なものでもある。しかし私は、会議室や処置室にいる全員が、何かおかしいと感じたときに遠慮なく問題を指摘したり、異を唱えたりできる環境を作りたいと考えた。これにより、看護師や技術者、研修医が私と同じ方向を向いて進むことができた。手術台の上で問題が発生した際、階級のせいで周囲が発言を躊躇するようなら、その階級はリスクでしかない。私はこの教訓を、自分が立ち上げてきたすべての会社に持ち込んでいる。

個人の才能を見極め、結束力のあるチームを築く

企業を立ち上げる道に進んだとき、適切な人材を採用することは極めて重要だった。もし採用を誤れば、それはどんなに優れた計画をも頓挫させかねない重大なリスクとなるからだ。

医療現場では、チーフ・レジデント(研修医長)に求められる気質やスキルセットは、看護師長や1年目のフェローとは明らかに異なっていた。それぞれの役割には、判断力、能力、性質の特定の組み合わせが必要とされる。私の仕事は、互いのスキルのギャップを補い合いながらも、共通の価値観を持つことで結束し、互いを補完し合えるチームを構築することだった。

これと同じ考え方が、ヘルステックのスタートアップにおけるエンジニア、データサイエンティスト、アカウントエグゼクティブ、その他すべての重要な役割にも当てはまる。初期段階の企業で最もよく見かける過ちは、創業者たちが「自分に似た人材」を採用してしまうことだ。自分と同じように考え、自分の既存の信念を肯定してくれる人ばかりを周りに置くことは、良く言えば排他的で役に立たず、最悪の場合は危険でさえある。

新規採用において、面接だけに頼ってはならないということを医学は教えてくれた。私がこれまで採用した中で最も優秀だったエンジニアたちは、従来の1対1の面接において、自分自身を最も洗練された形でアピールできた人物ではなかった。医師は、患者の検査結果と生活習慣を結びつけるときのように、常にバラバラのデータを収集し、考慮しなければならない。複数の情報源から情報を集めて、十分な情報に基づいた意思決定を行うというこのスキルは、ビジネスにおいて大いに役立っている。

ギャップを埋める方法を知る

マニュアルのない問題。先例のない意思決定。相談できるチーフ・オブ・スタッフ(参謀役)もおらず、自分の見落としを指摘してくれる同僚の委員会もない。これらはすべて私にとって未知の領域であり、習得には望んでいた以上の時間がかかった。初期段階の企業立ち上げのペースは速く、じっくりと知識を蓄えたり予行演習を行ったりする余裕はほとんどないからだ。

私はアドバイザー陣を頼らざるを得なくなった。それは、医療トレーニングの研修医時代に先輩医師たちを頼ったときとまったく同じだった。対象となるテーマは大きく異なるが、その行動の本質は同じである。自分がこれから目指す場所に到達した経験があり、自分よりもはるかに多くの知識を持つ人々を見つけ、あらゆる疑問をぶつけ、そのすべてを吸収しようとすることだ。

手放す技術

医師としてのトレーニングと実践においては、文字通り「実践的(ハンズオン)」であることが求められた。そのため起業した当初、創業者としての私の本能も同じように働いた。臨床現場において完璧な管理を求める姿勢は強みになり得るが、新しい会社で同じことをすると、自分がボトルネックになってしまう。私は、COOや部門長、そしてまさにそうした判断を下すために採用した優秀なメンバーたちに、メスを譲らなければならないことをすぐに学んだ。

その変化を受け入れるのは簡単ではないが、ある時点で、これが医療の現場で培ったスキルであることに気づいた。誰かを指導し、徐々に権限を与え、一歩引いて相手に執刀(オペレーション)を任せる。臨床現場から会社経営への移行は、企業のあらゆる機能において、それを異なるスケールで実行することを求めたのだ。

私は多くの創業者に比べて遅い時期に起業し、すぐに埋めなければならない業界特有の知識のギャップを抱えていた。それらは間違いなく困難な課題だった。しかし、それらがビジネスの成否を決定づけたわけではない。適切なチームを編成し、徒弟制度やメンターシップの要素を取り入れ、アドバイザーに頼るべきタイミングを見極め、一歩引いてチームに最高の仕事を任せる方法を知らなければ、ただでさえ困難な道のりは、さらに険しいものになっていただろう。医師としての何年にもわたるトレーニングと実践は、私が必要性を自覚するはるか前に、これらすべてのことを教えてくれていたのだ。

forbes.com 原文

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