2011年1月17日、Appleはスティーブ・ジョブズが病気療養に入ると発表した。その日、フランクフルト市場で同社株は約7%下落した。Appleの事業そのものには何の変化もなかった。iPhoneの販売は過去最高を記録していた。これは単に、一人の人物が会社にとってどれほどの価値を持つかを、市場がどう値付けするかを示したにすぎない。
公開市場ではこうした再評価が毎日行われている。しかしプライベート・エクイティ投資家にとっては、その機会は一度きり——デューデリジェンスの段階だ。だからこそ、創業者依存、いわゆるキーパーソン・リスクは、本気の投資家が事業に参入する前に真っ先に精査する項目の一つである。年40%成長し、健全な利益率を誇る企業であっても、あらゆる意思決定が一人の受信箱で滞留しているケースはある——そして成長は、その創業者が不在になったり、注意を奪われたり、去ったりするまでこの問題を見えなくしてしまう。
研究もこれを裏付けている。Morten Bennedsen、Francisco Pérez-González、Daniel Wolfenzonの3氏が『Journal of Finance』誌に発表した研究では、デンマークの約1万3000社を追跡調査し、「10日間の入院により、企業の営業利益率は平均から5.8%低下する」ことが明らかになった。この影響は成長企業や同族経営企業でとりわけ大きい。
デューデリジェンスが実際に見ているもの
私が用いるテストはシンプルだ。創業者が3カ月間離脱したとして、事業は同じペースで回り続けるか。この問いは、誰かがデータルームを開く前に、通常4つのシグナルで答えが出る。
1. あらゆる意思決定がオーナーを経由する。 承認案件が一つの受信箱に積み上がっているとき、その会社は創業者主導型経営の天井に達している。投資家はこれをスケールの厳格な制約と読む。
2. 主要顧客が創業者としか取引しない。 個人ブランドは初期の売上を築き上げる。しかし上位10社との関係をプロフェッショナルな経営陣に引き継げないなら、その売上は一人の稼働状況に依存していることになる。
3. 会社の成長に伴い意思決定が遅くなる。 人員が増えるほどサイクルタイムが伸びるなら、権限は分散されていない。単により多くのリクエストの下に埋もれているだけだ。
4. CEOが出張すると会社が止まる。 2週間の不在中に日常的な案件が未処理のままなら、デューデリジェンス・チームはリスクをモデル化する必要すらない。答えは創業者のカレンダーにある。
フルスケールで見る「ディスカウント」の姿
WeWorkは、市場が創業者の過剰な存在感をどう値付けするかを示す好例だ。2019年、同社は470億ドル(約7兆5100億円)の評価額でIPOに臨もうとしていた。しかし目論見書は、事業がアダム・ニューマンと構造的に不可分であることを露呈させた。業績に関係なく彼に支配権を与える超議決権株式、会社との個人的取引——「We」という単語の商標を590万ドル(約9億4200万円)で会社に売却した件を含む——そして彼個人を中心に築かれた投資家・顧客関係である。
IPOプロセスは、WeWorkを高水準のガバナンス精査にさらした。結局、この要因に加え、疑問の多い目論見書の内容や戦略上の問題が重なり、IPOは頓挫した。ニューマンは退任を余儀なくされ、評価額は約80億ドル(約1兆2800億円)まで下落した——実に80%を超える減額である。
創業者依存のケースの大半は見出しになることはない。デューデリジェンス・レポートの目立たない一段落として、そしてタームシートのより低い数字として、静かに残されるだけだ。
投資家が投げかける3つの問い
経験豊富な買収者は、通常、組織図に触れることなく、次の3つの質問だけで創業者依存の実態を把握できる。
1. 創業者が同席せずに行われた直近5件の主要な意思決定を見せてもらえるか。 リストが短かったり、事例が些末だったりするなら、権限は書面上にしか存在していない。
2. 上位10社の顧客のうち、創業者の次の経営幹部を名前で知っているのは何社か。 単に「会ったことがある」ではなく、知っていて、定期的に連絡を取り、信頼している、という意味だ。これによって、創業者の退任と共に流出する売上の規模が正確に把握できる。
3. 創業者が2週間連絡を取れなかったとき、直近では何が起きたか。 この質問への正直な答えは、どんなプロセス文書よりも価値がある。
プライベート・エクイティによる資本受け入れを準備している創業者は、投資家に問われる前に、これらの質問を自分自身に投げかけておくべきだ。
解決には資金調達よりも長い時間がかかる
対処法は分かっている。製品、採用、予算、戦略にわたる明確な意思決定権限の設定。どんな状況でも担当者が明らかになるほど明瞭に文書化されたプロセス。そして、実際の結果を伴う真の意思決定を経験した第二階層のリーダーたち、である。
信頼構築、権限委譲、リーダーシップ育成は一朝一夕には成し得ない。潜在的なディールの6カ月前から創業者が権限を分散し始めたとしても、デューデリジェンス・チームの目には、それは「演出」であって「達成」ではないと映る。数年をかけて蓄積された、事業が創業者なしで意思決定し、販売し、運営されているという証跡は、どんな成長ストーリーよりも雄弁だ。
一人に依存しない会社の作り方
会社が創業者の限られたリソースに人質のように縛られない状態を確保するには、いくつかの重要かつ効果的な措置が必要である。
第一に、チーム内に透明性のあるマネジメント体制を築くこと——各メンバーが自分の責任範囲を理解し、意思決定における自律の始点と終点を認識している状態だ。
次のステップは、業務プロセスの制度化である。すべての合意事項は文書化され、いかなる状況にも対応できる意思決定の連鎖が整備されていなければならない。
ただし、独立した第二階層のリーダーを引き上げ、チーム内で育てることも欠かせない。移行期間を円滑にする方法として、意思決定を共同で行うこと、うまくいったこととそうでなかったことを詳細に議論すること、週次の優先順位を定めるミーティングを開くことなどが挙げられる。
物事を回す術を知る者
強い企業とは、創業者がビジョン、資本配分、長期戦略に集中し続けられる企業だ。日々の実行は有能な経営チームが担う。
デューデリジェンスにおいて、創業者依存は単なる業務上の観察事項ではない——それは、その会社が機関投資家の資本を受け入れる準備ができているかどうかの指標である。キーパーソン・リスクの低減に成功した企業は、投資、迅速なスケール、そして高いバリュエーションにおいて、通常より有利な立場に立つ。



