苦戦しているVP(バイスプレジデント)について私に相談してくるCEOは、たいてい既に結論を出している。ほしいのは「背中を押す言葉」だ。そしてVPは夏までに退任し、後任探しに9カ月かかり、新任者が立ち上がるまでにさらに1年かかる。翌春には、同じ問題が同じ椅子に別の顔で座っている。これは人材の問題ではない。診断の問題である。コーチングか交代かを決める前に、3つの問いに答えてほしい。多くのリーダーは、最初の問いさえ乗り越えられない。
VPにコーチングが必要か、交代が必要かをどう見極めるか
この問いは、たいてい2年ほど遅れてやってくる。本来問うべきタイミングは、VPが苦戦し始めているかもしれないと感じたその瞬間だ。この問いを発するのを遅らせすぎると、答えはたいてい一つしかなくなる。
決断する前に、全体コストを検討する
苦戦するVPをコーチングするか交代させるかをCEOが判断する際、コストは常に重要な要素となる。しかし多くのリーダーは、エグゼクティブ・コーチングを投資ではなく経費と見なしがちだ。
その見方は、より大きな財務リスクを見落としている。決断を下す前に、それぞれの選択肢の全体コストを検討してほしい。
- 不適格な人材をそのポジションに留める場合:事業の勢いが失われ続け、判断の質が低下し、チームのパフォーマンス悪化による影響を受け続ける可能性がある。
- VPを交代させる場合:採用、オンボーディング、生産性の低下、移行期間にかかるコストは相当な額になる。多くの場合、VPの交代にかかるコストは本人の年俸の最大3倍に達する。
- VPをコーチングする場合:本人に改善する能力と意欲があるなら、コーチングはより迅速で、混乱が少なく、費用対効果も高い選択肢になり得る。
真の問いは、単にコーチングにコストがかかるかどうかではない。問題を放置したり、新しい人材を一から迎えたりするよりも、コーチングの方が高いリターンをもたらすかどうかである。
できないのか、それとも努力をやめたのか
スキルギャップはコーチングで解消でき、比較的短期間で修正可能だ。P&L(損益)の運営を経験したことがないVPは、2四半期あれば習得できる。しかし、静かに気持ちを切らせてしまったVPを、コーチングで「再びやる気にさせる」ことはできない。
ある時点までは、この人物はうまくやっていたはずだ。もし初日から違和感があったなら、それは採用ミスだったと認め、即座に手を打ったことを願う。
人は身につけたものを「忘れる」ことはない。何かが変わったのだ。あなた自身の行動が、その変化に影響していないだろうか。まず問題を明確に言語化する。そのうえでVPと対話し、共に解決できるかを探るのだ。
求められる役割が変わったのではないか
労働者の65%が、実際に就いた仕事が説明されていた内容と大きく異なっていたと回答している。エグゼクティブレベルではこの割合はおそらくさらに高く、原因も異なる。面接で誰かが嘘をついたわけではない。会社が変わり、担当範囲が3倍になり、AIが業務量を半減させたのに、誰もその役職を再設計しに戻らなかった。今、あなたは18カ月前に期限切れになった職務記述書に照らしてリーダーを評価しているのだ。
改訂されていない職務内容は、単純に修正できる問題だ。VPと膝を突き合わせ、会社がこれから向かう方向に基づいて新しい職務記述書を一緒に作る。これまでの延長ではなく、これからの姿に基づいて、である。その際、VPが入社以降に新たに身につけたスキルについても必ず話し合ってほしい。彼または彼女は、あなたが思っている以上に価値ある存在かもしれない。
次に取るべき行動
先延ばしにしてきた対話の日程を、カレンダーに書き込もう。そして、測定可能で双方が合意した目標を文書化し、フォローアップミーティングの日程を設定する。もし相手が対話に真剣に向き合っていないようなら、避けられない結末を先延ばしにする理由はない。退職パッケージを用意し、即日発効させるべきだ。
3つの問いすべてに答えられないのであれば、コーチングが必要なのはあなたのVPではないかもしれない。



