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2015.12.04 17:28

ケンカの相手を間違えた?露制裁でトルコの痛手は確実

danielo / shutterstock

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トルコのエルドアン大統領が「謝罪」をしたとしても、それだけではまだ足りないだろう。ロシアのプーチン大統領の機嫌はすこぶる悪い。シリアに向かっていたロシア軍機を、領空侵犯を理由にトルコ軍機が撃墜したためだ。ロシアはこれに対し、経済制裁による報復に出た。
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バークレイズ・キャピタルのあるアナリストは、相手国からの輸入が途絶えれば、より苦しむのはトルコだと説明する。
制裁には特定の製品の輸入禁止が含まれ、その大半を占めるのが農産品になるとみられる。ロシアは現在、欧州からの輸入を一部禁止しており、それが原因で高インフレが続いている。

しかし、それでも今回の制裁でより大きな打撃を受けるのは、トルコ経済だ。トルコの対ロシア輸出は2008~14年の輸出総額のうち、約4~5%を占めた。今年10月末までの輸出額は、前年比で2.7%(40億ドル)減少している。
中でも最大の痛手を受けるのは旅行業だろう。トルコ国民に対する短期ビザの免除は来年1月1日から停止され、ロシアの旅行会社はトルコ行きツアーの販売を禁止された。両国間のチャーター便も、運航が止められた。

2014年にトルコを訪れた外国人旅行客のうち、12%はロシアからの旅行客だった。これらの旅行者がトルコ国内で使った金額は、およそ40億ドルとされる。
また、両国はエネルギー分野でのつながりが強いが、ロシアのガスプロムとトルコの国営石油パイプライン会社、ボタス・ペトロリアムのパイプライン交渉は、今回の政治的危機により無期限での延期に追い込まれた。ただ、トルコが外国から購入する天然ガスの約55%はロシア産で、ロシアがトルコへの天然ガス供給を止めることはないとみられる。
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一方、両国間で基本合意していたロシア産天然ガスの新パイプライン、「トルコ・ストリーム」の建設計画は凍結された。そのため、これまで進められていたガス料金の10%値下げに関する協議も中断される可能性がある。
このほか、トルコの建設業界への影響も重大だ。外国で請け負う建設事業のうち、20%がロシアでのプロジェクトだ。トルコ建設業協会(TCA)によると、1988年以降に同国の建設会社がロシアで手掛けた建設プロジェクトは、600億ドルを超える規模に達している。トルコ中央銀行(TMB)によれば、トルコの建設会社の売上高は2014年が総額40億ドル、過去1年間が23億ドルだ。

建設業が制裁の対象となるかどうかは今のところ不明だが、国内の建設会社に十分な対応能力があると判断すれば、ロシア政府はそれら企業の成長を促進する手段としても、トルコ企業を市場から締め出そうとするかもしれない。ただし、トルコがロシア国内での事業から手を引けば、建設計画に遅れが生じることも考えられる。
なお、経済協力開発機構(OECD)によれば、ロシアの2014年のトルコからの建設資材の輸入額は27億ドルだった。

ロシアへの影響は?
制裁発動でロシアが被る最大の影響は、食料品価格の高騰となるだろう。8カ月にわたって鎮静化の兆しを見せていたインフレ率は、再び上昇に転じる見通しだ。12月1日時点で、ロシアのインフレ率は年率15.6%となっている。
また、インフレ問題はロシアの金融政策に影響を及ぼす可能性がある。バークレーズは、金融市場の不確実性が増し、当面はその状況が続くとみられることから、ロシア連邦中央銀行は12月の金融政策決定会合で、政策金利を据え置くことになるだろうと指摘している。

編集 = 木内涼子

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