一方、コンゴで感染の猛威は止まっていない。欧米メディアによれば、コンゴ当局は感染者の発見・隔離に努力しているものの、感染の速度に追いついていないのが現状だという。原因はいくつかあるが、ほとんど人災と言える状況だ。
まず、感染源となった東部イトゥリ県では武装勢力の活動が激しく、感染者が収容されているエボラ治療センター(ETC)や病院も攻撃を受けている。感染はイトゥリ県を中心に、北キブ、南キブ、上ウエレ、ツォポ、バスウエレの計6州54保健区に広がっている。避難する人々などの動きもあり、十分な隔離対策が取れないという。WHOも「不安定な治安、鉱業などの貿易の流れを含む高度な移動、大規模な難民コミュニティの存在など、疫学的、人道的、治安の複雑な背景の中で感染が広がっている」と説明している。
今回のエボラ出血熱を引き起こしているブンディブギョウイルスには、認可されたワクチンや特異的な治療法は存在しない。候補ワクチンや治療薬の臨床試験は進んでいるが、実用化にはなお時間がかかるとみられる。それだけに早期発見と隔離が重要だが、それが十分に機能していないという厳しい状況がある。国際社会は、国連PKOを通じて民間人保護や武装勢力への対応を実施しているほか、欧米諸国が資金拠出や独自の制裁などで支援をしている。しかし、武装勢力の数が多く、利害関係が複雑に絡み合っているうえ、コンゴ当局自体の治安能力が高くないため、混乱を抑え切れていない。
コンゴでは、遺体に触れる葬儀・埋葬の慣行が感染拡大につながるおそれもある。遺族らが感染者の遺体を運びだそうとして、病院などを襲撃する事件も起きた。コンゴでのエボラ出血熱の感染拡大は、これまでの経験から適切な対応ができたと言える隣国ウガンダの状況と比較してみても、「人間が引き起こした悲劇」と言えるかもしれない。


