人との出会いにも「4つの投資基準」
高鍬氏は、経営者同士の交流会にむやみに参加しない。
時間を投資する価値があるかを、四つの基準で判断している。
ひとつ目は、主催者にマッチングのセンスがあるか。
CCHの強みと課題を理解し、「この二人は会うべきだ」と考えて紹介しているかを見る。
2つ目は、向上心のある人が集まっているか。
高鍬氏は、向上心を「自社の課題を言えるか」で判断する。
「特に課題はありません」と答える経営者は、現状を正しく見ていない可能性がある。
3つ目は、ギバーが多いか。
目の前の利益だけを求めず、誰かのために人や情報をつなぐ人が集まる場所では、3カ月後、半年後、1年後に新しい事業が生まれる。
4つ目は、過去ではなく今と未来を話す人がいるか。
過去の成功体験を語り続けるのではなく、今の課題と、次に実現したいことを話す。
この基準を満たす場では、会食の最中に新しい事業が生まれる。
高鍬氏にとって、人との出会いも偶然ではない。
将来の価値を生む投資である。
8戦8勝を生んだのは、未来を見る力と実装する力
M&Aで成功するために、特別な買収案件を見つけることだけが重要なのではない。
本来の価値に対して過小評価されている企業を見つける。
その価値が、特定の個人ではなく、組織やブランド、技術、顧客基盤に蓄積されているかを確認する。
買収前に出口を決める。
買収後は現場に入り、課題を特定する。
営業、マーケティング、採用、DX、AIを使って、成長を実装する。
そして、日次で数字を確認し、改善を高速で続ける。
キルフェボンでは、顧客だけでなく、働く人まで引きつけるブランドの価値を見た。
ホリイフードサービスでは、変わる機会を待っていた強い現場組織を見た。
DAZNとの取り組みでは、商品をそのまま売るのではなく、売れる仕組みそのものを設計した。
CCHのM&Aは、会社を買う技術ではない。
企業の中に眠る価値を見つけ、事業として実現する経営技術である。
「M&Aの勝負は、買収した瞬間ではなく、買収した後に始まります」
高鍬氏が語る「8戦8勝」の本質は、買収価格の巧みさだけではない。
過去の実績に満足せず、今の課題を見つめ、未来の価値から逆算し、成果が出るまで実行する。
その姿勢こそが、CCHを売上高1000億円へ導く成長戦略なのである。


