運用を阻む人事部と管理職の不足
手が回らない理由は、運用上の障壁を尋ねた設問に表れている。最も多いのは人事部の人員不足(34.3%)で、人材マネジメントに関する管理職の知識・能力不足(29.4%)、人事部の企画力・専門性の低さ(27.8%)が続く。管理職の権限が弱いという回答も25.6%だった。

ジョブ型は本来、評価や処遇の決定を管理職が主体的に担うことを前提とした制度だ。その担い手に知識も権限も足りていないのであれば、施策を増やそうにも増やせないだろう。調査を実施した同社のシニアコンサルタント・森本伊織氏も、制度はあるが動かせない状態に陥っている企業は少なくないと指摘する。
今後の意向を見ると、関心の移動が見てとれる。職務記述書の作成・公開は実施企業の32.2%が廃止したいと答えた一方、未実施企業の導入意向が高いのは360度評価(27.7%)と管理職の評価力向上研修(27.0%)だった。職務を定義する段階から、その職務を担いうる人材を把握する段階へ移りつつあるということだろう。

ただし人材を見える化する施策もまた、誰かが運用しなければ動かない。制度を導入した企業に次に必要なのは、新しい仕組みよりもそれを回す人という構図になっている。ジョブ型の成果は、その手当てをどこまでできるかにかかっているのではないだろうか。
【調査概要】
調査名:ジョブ型人事制度の運用実態調査
調査対象:従業員300名以上の企業に勤める人事636人
調査期間:2026年7月23日〜28日
調査方法:インターネット調査


