ジョブ型人事制度という言葉が定着し、職務や役割にもとづく等級制度を取り入れる企業は増えている。ただし制度を入れたことと、狙った成果が出ていることは別だ。期待通りにはいかないという声も、人事の現場からは聞こえてくる。成果の実感はどこで分かれるのだろうか。
人材採用・組織開発を手がけるリクルートマネジメントソリューションズが日経BPと共同で、従業員300名以上の企業に勤める人事を対象に実施した調査から、導入企業の内側が見えてきた。
施策の数で開く成果実感の差
同じ目的でジョブ型を導入していても、成果実感には開きがある。各目的で期待通りの成果を得られていると答えた企業は約半数、得られていないという企業は約2割だった。
差はどこから生まれているのだろうか。実施施策の数で企業を分けると輪郭が見えてくる。施策数が7〜15の企業では、肯定群と否定群の差が採用力強化で55.4ポイント、成果による処遇のメリハリで53.2ポイントに達した。
ところが施策数0〜1の企業では、キャリア自律の促進で差分がマイナスに転じ、否定的な回答が上回っている。制度を入れただけの状態では、成果が出ていないどころか逆の実感すら生んでいるようだ。

骨格はあっても肉付けの薄い運用
では企業は何を実施し、何を実施していないのだろうか。実施率が高いのは職務評価による職務等級格付け(45.1%)、キャリア研修(41.2%)、管理職の評価力向上研修(39.9%)で、等級を決め、人を育てる部分は進んでいる。
一方で低いのは退職勧奨(8.8%)、異動後のサポート施策(17.8%)、等級の下方改定(21.2%)だった。いずれも人を実際に動かし、格付けの変更を処遇や配置に反映させる場面にあたる。制度の骨格は整っても、肉付けにあたる部分は手つかずのままのようだ。




