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国内

2026.09.07 13:30

仏米の工場を見て考えたこと

パリ祭に沸くコンコルド広場をチラ見して、ピレネー山脈麓の古都、ポーに向かった。緑豊かなこの地では、酷熱の下でも中世のお城やゴシック式の教会が静かな佇まいを見せていた。

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観光ではない。日本の金属加工企業T社の海外現地法人視察である。ポーから車で1時間余りの山中に現法の拠点がある。迎えの現法社長は初老のフランス人だが、急坂やつづら折りの山道を、ラリーよろしくプジョーを飛ばしていく。

車窓からの眺めに心が和む。広大な玉蜀黍畑と鮮やかな黄色の向日葵畑、何より時々現れる小集落の家々の姿が強行軍を慰めてくれた。ふと永井荷風を思い出した。「フランスの人家が如何にも自然で美しく…自然は、母親の情というよりも、むしろ恋する人の心に等しい」(ふらんす物語)。

現法では日本工場にも劣らない修繕準備の体制などを確認した。100人弱の社員の満足度も高そうだった。横を流れる清流に鱒の魚影が濃い。環境保全に特段の意を用いている。その後の会議は日本語訛りと仏語訛りの英語で、数時間にわたって熱い議論が交わされた。欧州電気自動車需要の低迷などで苦闘しているが、原料コストの低減と新たな販路開拓で焦眉を開いたという。財務指標を巡る目線合わせも終わり、一同、夕食会場に向かった。

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レストランで、あらためて幹部社員の自己紹介が行われ、地元ワインで乾杯である。するとにわかにロビーから歌声が上がった。ラ・マルセイエーズの大合唱だ。サッカーW杯のフランス対スペイン戦のキックオフだったのだ。

「フランス人も団結すれば強いんだよ」と幹部社員が誇らしげだ。思わず「ルペン派なの?」とかますと、オウム返しに「Non, pas du tout !」、とんでもない、とふくれっ面である。現法社長が「国民もさることながら、うちの会社はファミリーなんだ」と自慢げに言う。社長は、会社は資本の論理ではなく人間関係の情愛でこそ動く、業績が悪くなってもリストラはせず皆で耐える、折々にパーティやピクニックを楽しむ、人と人とのつながりがすべてだと強調する。夕食の締めは、「わがファミリーに乾杯!」であった。

翌朝は4時起きでパリ経由シカゴに向かった。T社の米国法人の視察のためだ。米国航空会社の機材は新しく、スペースも広くて心地よい。往路の日本のエアラインの古びた機材と比べてしまう。

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