プロフェッショナル向けコーチングは、組織変革、後継者計画、昇進、業績上の課題に直面する人材を支援する強力な手段となり得る。しかし、コーチとクライアントを組み合わせるプロセスは、驚くほど主観的なままである。コーチは、過去の支援実績、優れた履歴書や職務経歴、あるいはクライアントとの相性を理由に推薦されることが多い。これらはいずれも重要だが、そのコーチが状況や望ましい成果に本当に適しているかを必ずしも示すものではない。
コーチングのスポンサー、部門リーダー、あるいはクライアント自身のいずれの立場であれ、リーダーにとってそのリスクは小さくない。スポンサーはどうすれば投資を守り、効果的なコーチングの基盤を築けるだろうか。筆者が「5つのE」と呼ぶシンプルな5要素のフレームワークが、確かな土台を築く助けとなる。
1. Experience(経験):同等の文脈でコーチングを行った経験があるか
コーチの一般的な経験を評価することはよくあるが、自社の状況に合致する経験を掘り下げることが常に行われているわけではない。そのコーチはどのようなクライアント層を支援しているのか。どのレベルのリーダーと関わってきたのか。変革、買収、厳しい市場環境、急拡大といった、どの組織的状況の舵取りに慣れているのか。大規模な変革を主導するエグゼクティブと、コミュニケーションスキルを磨きたい次世代リーダーとでは、必要とするものが異なる。
コーチがクライアントの状況のあらゆる面と一致している必要はない。しかし、同等の経験があれば、共通言語や共通理解が生まれ、必要に応じてメンタリングにもつながる。候補となるコーチには、どこで、どのように最も効果を発揮してきたのか、また、どのような場面ではうまくいかない可能性があるのかを尋ねるとよい。これにより、経験を評価できるだけでなく、本人が自らの限界を認識しているかも見極められる。
2. Expertise(専門性):この業務を担う資格が備わっているか
業界や職能に関する知識は共通言語をもたらすかもしれないが、それを専門性や力量の代替指標として使うべきではない。コーチングには、深い傾聴、適切な問いかけ、明確な境界線の維持など、特定のスキルが求められる。さらに各コーチは、アセスメント認定、正式な教育、キャリア上の専門領域など、独自の専門性を持っている。例えば、チェンジマネジメント、組織心理学、対人コミュニケーション、感情知能を専門としている場合がある。
コーチングが行われる文脈を踏まえ、チームがどのような具体的支援を必要としているのかを明確にする。そのうえで候補となるコーチに、エンゲージメント全体の成功に貢献し得るどのような専門性を持っているのかを尋ねるべきである。
3. Evidence(証拠):その取り組みに価値があるとどう判断するか
コーチングのエンゲージメント後に成功がどのような形で現れるべきかについて、スポンサーとリーダーの認識が明確かつ一致していないと、適切なコーチを見つけることは格段に難しくなる。例えば、優れた推薦文を持っていても、特定の種類の成果を支援してきた実績に欠ける人もいる。コーチを選定する前に、何を進捗の証拠とみなすのかについて合意しておくべきだ。望ましい成果を定めておけば、過去のエンゲージメントに関するコーチの証拠が、成功の可能性を示す指標となるかどうかを判断しやすくなる。そうした証拠は定量的、定性的、逸話的、あるいはそれらの組み合わせであってよいが、全体として想定される成果と論理的に整合していなければならない。
4. Emotional Competence(感情面の力量):感情を巧みに扱えるか
効果的なコーチングでは、多様で複雑な感情を扱うことがしばしば求められる。とりわけ、クライアントが対立、不確実性、フィードバック、役割の変化に向き合っている場合はそうである。コーチは感情に建設的に関わると同時に、クライアントのニーズがエンゲージメントの範囲を超えるタイミングを認識できなければならない。こうした能力には訓練と実践が必要である。
候補となるコーチが、クライアントが自身の感情と、それが同僚やチームに及ぼす影響を理解するのをどのように支援してきたのかを確認するとよい。より自己主張できるようになる、反応的になりすぎない、難しい会話により落ち着いて臨めるようになるといった、クライアントの根底にある感情面のニーズにコーチがどのように取り組むのか、また感情知能に関してどのようなトレーニングを受けているのかを尋ねるとよい。
5. Ethics(倫理):境界線は明確か
コーチは高度な職業倫理に基づいて行動しなければならない。これは一般的な意味での倫理にとどまらない。認知された専門団体が定める基準に従う必要がある。例えば、国際コーチング連盟(ICF)の資格を持つコーチは、教育と経験の要件を満たし、能力を実証し、同団体の倫理規定を遵守することを約束している。
コーチを採用する前に、守秘義務がどのように保護されるのか、スポンサーにどの情報が共有されるのか、誰がクライアントとみなされるのか、利益相反がどのように管理されるのかといった要素について話し合うべきである。
コーチングの適合性を維持する:三者合意の力
慎重に検討され、高い資格を持つコーチであっても、最適な相手ではない、あるいは最適であり続けないことがある。整合性を確保し維持するには、スポンサー、リーダー、コーチが合意する明確な三者合意を作成することが重要である。そこには、目的、意見の相違や守秘義務の扱い、進捗の確認方法、エンゲージメントを継続するか終了するかの判断方法を明確に記載すべきである。
中間レビューで合意内容と進捗を確認することは、クライアントの守秘義務を損なうことなく、エンゲージメントを見直し、方向のずれを修正する貴重な機会となる。レビューは、個々のクライアントやチームのパフォーマンスではなく、コーチングのエンゲージメントに焦点を当てるべきである。検討すべき点は次の通りだ。
• 当初の目的は今も妥当か。
• 明確に示せる変化が生まれているか。
• クライアントはそのエンゲージメントを有用だと感じているか。
• エンゲージメントは継続すべきか、方向転換すべきか、それとも終了すべきか。
古くからある相性の良さがコーチングへの扉を開くことはある。しかし、経験、専門性、証拠、感情面の力量、倫理という5つのEは、誰がその扉をくぐるべきかを判断するための、より強固な基盤を提供する。



