経営・戦略

2026.08.31 08:46

競争とディスラプションの前にある、事業戦略の「失われた段階」

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マイケル・ポーターは、企業がいかに競争するかを説明した。クレイトン・クリステンセンは、産業がいかにディスラプト(創造的破壊)されるかを説明した。だが、その両方の前には何があるのか。

創業者CEOや企業幹部は、やがてより優れた競争者、あるいはディスラプターとなる事業を、どのように意図的に築くのか。

それこそが、事業戦略における「失われた段階」なのかもしれない。

戦略の巨人たち

マイケル・ポーターは、根本的な問いを投げかけた。企業は既存産業の中で、どのように競争優位を築くのか。彼の研究は、一部の企業が差別化と戦略的選択を通じて、なぜ他社を上回る成果を上げるのかを説明した。

クレイトン・クリステンセンは、別の問いを立てた。破壊的イノベーションは、最終的にどのように既存の市場リーダーに取って代わるのか。彼の研究は、破壊的イノベーションが既存企業をいかに追い落とすかを示した。

この2つのフレームワークは、経営幹部の競争に対する考え方を変革した。しかし、いずれも事業開始時点の現実を見落としている。創業者CEOは、やがてディスラプターとなる事業をどのように意図的に築くのかという現実である。

創業者CEOに固有の課題

起業家が直面する課題は、ポーターやクリステンセンが検討した課題とは根本的に異なる。ポーターは、企業が既存産業の中で競争していることを前提とする。クリステンセンは、成長するベンチャーが既存企業にどのように挑むかを検討した。

創業者CEOは、さらに早い段階から始める。実証された市場ポジションが存在する前、持続可能なビジネスモデルが現れる前、そして多くの場合、どの顧客が最大の価値を生むのかが明確になる前である。彼らの最初の課題は、競争やディスラプションを管理することではない。それは、最終的にその両方を可能にし得る戦略的適合を見いだすことである。

この段階では、不確実性が支配的である。

起業家は、どの顧客セグメントを追求するのか、どの課題を最初に解決するのか、どのセールスドライバーなら経済的に顧客を獲得できるのか、どのように事業資金を調達するのか、そして形成されつつある戦略が、最終的に意味のある競争優位を生み出せるのかを見極めなければならない。

これらの答えは、いずれも事前にわかっているわけではない。発見されなければならないのだ。

戦略的適合がプロダクトマーケットフィットを上回る理由

この基礎的な時期は、戦略的適合の探索である。市場での戦いから始まるのではなく、規律ある探索から始まる。

戦略的適合は、5つの力の最適な組み合わせから生まれる。

  • 新たなトレンド:マクロな変化に早く乗る。
  • 製品/サービス:特定のペインポイントを解決する。
  • 顧客セグメント:価値の高いアーリーアダプターを狙う。
  • 戦略グループ:優位性を得られる位置取りをする。
  • セールスドライバー:経済的に顧客を獲得する。

戦略的適合が実証されて初めて、そのベンチャーは自信を持って規模拡大を始める。商業的成功はリーダーシップの証明を生み、より大きな資本源を引きつけ、組織能力を強化し、最終的にはより広い市場への拡大を可能にする。場合によっては、そのプロセスがやがてクリステンセンの述べた破壊的企業を生み出す。

創業者CEOの道のり

このように捉えると、創業者CEOの道のりは論理的な進行をたどる。

  1. 新たなトレンド — マクロな変化を特定する。
  2. 探索 — 不確実性の下で規律ある探索を行う。
  3. 商業的証拠 — 実際の取引によって需要を検証する。
  4. 戦略的適合 — 製品、販売、市場セグメントを整合させる。
  5. 離陸 — 自信を持って成長を加速させる。
  6. 拡大 — より広い市場へ規模を拡大する。
  7. ディスラプション — 既存企業を置き換える。

ディスラプションが出発点であることはめったにない。通常それは、証拠を生み、不確実性の下で学び、競合他社が容易にまねできない戦略的適合を発見する、はるかに長いプロセスの結果である。

この視点は、革新的な製品、ベンチャーキャピタル、高い評価額だけでは、持続する企業が生まれない理由を説明する助けにもなる。最終的に、そのベンチャーにはやはり、優れた顧客価値と競争優位を生み出せる戦略的適合が必要なのだ。

資本は成長を加速させることはできるが、優れた顧客価値と持続可能な競争優位を一貫して生み出す戦略の特定に代わるものにはなり得ない

判断力の価値が高まる時代

したがって、創業者CEOの役割はプロフェッショナルマネジャーの役割とは異なる。

プロフェッショナルマネジャーは、確立された事業の最適化を目指す。創業者CEOは、ほとんど証拠が存在しない場所で証拠をつくり出す。体系的に探索し、商業的なフィードバックから学び、戦略的柔軟性を保ち、不確実性が低下し始めてから初めて資源を投入する。これにより、賢明な創業者CEOは新たなトレンドをうまく活用できる。

人工知能(AI)は、この能力の価値をさらに高める。AIは知識や技術的専門知識へのアクセスをますます民主化している。その中で依然として希少なのは、不完全な情報を解釈し、新たな機会を認識し、競合他社に先んじて戦略的適合を発見する能力、すなわち「判断力」である。

私の見解:ポーターは企業がいかに競争するかを説明した。クリステンセンは産業がいかに変化するかを説明した。より早い段階にあり、まだ地図化されていない課題は、創業者CEOが、やがてそうした変化を生み出す企業をどのように意図的に築くのかを理解することである。

知識が安価になり、判断力が希少になるAI主導の経済では、不確実性の下で証拠を生み出す能力こそが究極の競争優位である。

(forbes.com 原文)

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