リーダーシップ

2026.08.31 08:17

「わからない」を戦略的優位性に変える、優れたリーダーの姿勢

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今週初め、ある製薬企業のパネルディスカッションに、同社の幹部2人とともに登壇した。大企業において「未来志向」であるために何が必要かを語り合う場だったが、ほどなくして、私の好きな専門用語の一つである「フラッキング(fracked)」へと話題が移った。

私たちJumpでは、企業が自らを取り巻く世界を再構築するより大きな力に不意打ちされる現象を「フラッキングされる」と表現している。コダックはデジタル写真の到来を予見できていた。ブロックバスターも人々が映画をインターネットでストリーミング視聴し始めていることを知っていた。これらの企業を最終的に飲み込んだ力は、何年も前から見えていたのに、既存のビジネスがまだ機能している間は、たやすく退けられてしまうものだったのだ。

パネルの終盤、聴衆の一人が質問した。今後5〜7年の間に自社のビジネスを脅かす可能性のある、最も重大なフラッキング要因は何だと思うか、という問いだった。まさに経営幹部が回答を求められる類いの質問であり、会場は身を乗り出して答えを待っているようだった。

幹部の一人は少し考え、「それを答えるのは非常に難しい」と言った。そして、その問いに答えるには本格的な調査と分析が必要だと説明した。頭に思い浮かんだだけの適当なトレンドを取り上げ、それを未来の展望であるかのように飾り立てたくはなかったのだ。

私はこの回答に感銘を受けた。通常、シニアリーダーには「確信」を示すべきだという途方もないプレッシャーがかかる。組織内で昇進するにつれ、複雑な事象を解き明かし、他者に指示を出すことで評価されるようになるからだ。

やがて、自信に満ちた見解を示す能力そのものが、リーダーシップの定義と混同されるようになる。特に、指示を待つ人々で埋め尽くされた部屋では、「わからない」と言うことが驚くほど難しくなる。

しかし、不確実性を進んで認める姿勢こそ、未来志向のリーダーが磨くべき最も重要なスキルの1つだ。それによって、組織が賭けに出る前に、実際に何が起こり得るかを調査する猶予が生まれる。そして、次に何が来るかを見極めるのは驚くほど難しい、というのも紛れもない事実だ。私たちは、リーダーたちに未来の見出しを壁に貼ってもらうたびに、その難しさを痛感させられる。

不確実性の壁

Jumpでは、フラッキングに関するワークショップの冒頭で、リーダーたちに「2035年の新聞の見出し」を書いてもらうことがある。全員にカードの束を渡し、まずはそれまでに「絶対に起こる」と最も確信していることから書いてもらう。各自がいくつかの見出しを書き、脇に置いておく。

次に、その逆を求める。2035年までに「絶対に起こらない」と確信していることは何か。さらに多くの見出しが書かれる。最後に、確信が持てない見出し、つまり、起こる可能性はあるものの、根拠が複数の方向を示しているような事柄を書いてもらう。

全員が書き終えると、それらの見出しを壁に貼る。参加者は席を立ち、同僚が書いた内容を読み始める。すると通常、それほど時間をかけずに、誰かが奇妙な点に気づく。

あるリーダーが「ほぼ確実」と考えている未来が、わずかに異なる表現で、別のリーダーが「絶対に起こらない」と確信している領域に並んでいるのだ。また、別のバージョンが不確実な中間のエリアに置かれていることもある。これらの判断を下した人々は、同じ会社で働き、同じ業界を知る同僚同士だ。同じプレゼンテーションを何度も一緒に聞いてきたかもしれない。それでも、10年先を見据えたとき、彼らが何をもって「確実」とするかについては、驚くほど異なる考えを持っている。

この瞬間は非常に有意義だ。なぜなら、自分たちの頭の中では、物事がはるかに確実であるかのように感じられがちだからだ。ある信念は、単にそれをしばらく口にし続けてきたという理由だけで、説得力を持ってしまう。特定の技術が過大評価されていたり、規制の変更が政治的に不可能だと感じられたりすることがある。やがて、そうした仮定が確実性であるかのように思えてくるのだ。

壁を使うことで、そうした個々の判断が一度に全員に可視化される。優秀な同僚がすぐ隣に立ち、正反対の見出しを掲げて自分と同じ熱量で確信しているのを目にすれば、主観的な「自信」を客観的な「知識」と混同することは難しくなる。このエクササイズはまた、未来がいかに未解決のままであるかを浮き彫りにする。人間はこのような不確実性を極めて不快に感じる。私たちは単に、「わからない」という状態が嫌いなのだ。

「わからない」ことを嫌う理由

社会心理学者のアリー・クルグランスキーは、確固たる答えに到達しようとする人間の欲求を長年研究してきた。彼はそれを「認知的閉鎖欲求」と呼んだ。初期のある実験では、15歳と16歳のイスラエルのスカウトグループに対し、サマーキャンプの開催地を2つの候補から選ぶよう求めた。全員一致の決定を下すまでの時間は20分だった。

各グループのスカウトのうち1人は、研究者たちの指示で動くサクラだった。彼の役割は、あまり人気のない候補を支持する主張をすることだった。彼は、グループがまだ十分に議論する時間がある早い段階で異論を唱えることもあれば、締め切りが迫り時間がなくなるまで待つこともあった。

そのタイミングによって、メンバーの反応は変化した。早い段階で異論が出たとき、メンバーはそれを比較的受け入れた。しかし、締め切りが近づくにつれ、同じような異論はますます煙たがられるようになった。せっかく決着させようとしていた問いを再び掘り返すような主張をする異論者に対し、グループのメンバーはより厳しい評価を下した。

クルグランスキーは後に、このような状況下で起こる現象を「捕捉と凍結(seize and freeze)」の傾向と表現した。不快な不確実性に直面すると、人々は手近な答えに飛びつき(捕捉し)がちになる。そして、その答えによって心の閉鎖(決着)が得られると、それを揺るがすような情報を避ける(凍結する)ようになる。彼の研究は、人が単に最善の答えが出るまで証拠を比較検討しているわけではないことを示している。私たちはまた、その問題を解決することに対して感情的なこだわりを持っているのだ。このことは、十分な証拠がないときほど、優秀な人が強い確信を抱いてしまう理由を説明するのに役立つ。確実性は、一種の感情的な安らぎをもたらすのだ。

このダイナミクスは、戦略会議に出席したことがある人なら誰でも身に覚えがあるはずだ。十分な裏付けが得られないまま重要な決断を下さなければならず、計画プロセスはどんどん進んでいく。そのようなプレッシャーの下では、組織が行動を起こすために何か頼れる拠り所を必要としているという理由だけで、それらしい解釈が勢いを得てしまうことがある。

これは、リーダーが未来について考える際に特に危険である。戦略的に最も大きな影響を及ぼす問いほど、不確実性が最も高くなる。背後にある変化の力が、今なお進行中だからだ。しかし、重要性が高い問いであるほど、早期に結論を出そうとするプレッシャーも大きくなる。そのようなときに役立つのが、思考を整理するための枠組みだ。

不確実性を整理する

未来学者ピーター・シュワルツは著書『The Art of the Long View』の中で、ロイヤル・ダッチ・シェルで行ったシナリオプランニングの取り組みに基づき、不確実性に対処するための実践的なプロセスを提示している。シュワルツは、チームが未来を形作る力を特定し、方向性が比較的明確なものと、多様な展開が予想されるものとを区別した上で、それらの不確実性を利用していくつかの現実的なシナリオを構築することを推奨している。このプロセスにより、リーダーは未知の未来を整理して捉えることができるようになる。

Jumpのメンバーがこの種のエクササイズを行う際は、まずビジネスに影響を与えている力を理解することから始める。これは、企業の従来の枠組みから抜け出し、先ほどのパネルディスカッションで同僚が言及していたような分析作業を行うことを意味する。時間をかけることで、無視できないほど十分な勢いを持った変化の全体像が見え始める。

フラッキング要因を評価する際、最も重要な基準は2つある。それは、「ビジネスにどれほど大きな影響を与え得るか」と、「その進む方向についてどれほど確信が持てるか」だ。いくつかの要因は影響力が大きく、進む方向もかなり確実だ。製薬会社にとっては、高齢化がその好例である。高齢の患者が何を必要とするか、医療システムがどう対応するかについては多くの議論があるだろうが、人口動態という根本的な動きは明らかに進行している。私たちはこのような要因を、信頼できる未来のあらゆるシナリオに含まれるべき「主要因(キードライバー)」と呼んでいる。

一方で、同等の影響力を持ちながら、同じレベルの確実性が得られない要因もある。例えば、個別化医療の未来がそうだ。科学は急速に進歩しており、遺伝子治療や細胞治療をベースにした治療法はいずれはるかに一般的になる可能性がある。しかし、それが主流となるまでの道のりは、より大規模に実用化され、手頃な価格で提供できるかなど、現時点で未解決の課題に左右される。

これにより、いくつかの現実的な未来が描かれる。例えば、2035年には個別化医療が希少疾患の枠をはるかに超えて普及しているシナリオを考えてみよう。製造の信頼性が高まり、提供方法が改善され、より精密に特定された患者層に向けて治療が行えるようになっている。このような世界で活動する製薬会社は、現在依存しているものとは全く異なる能力を必要とするかもしれない。

次に、別の2035年のシナリオを想像してみてほしい。科学は進歩し続けたものの、実用化の壁は依然として厚いままだ。個別化治療はニッチな分野で革新をもたらしたものの、市場全体を支配するにはあまりに複雑でコストがかかりすぎる。同じ製薬会社であっても、依然として適応を求められるが、その変化の形態やペースは大きく異なるものになるだろう。

シナリオプランニングによって、これら両方の未来を共存させることができる。チームはそれぞれの未来を具体的に描き出し、実際にビジネスがどのように運営されるかを理解した上で、現在の戦略がどこで破綻し始めるかを検証できる。複数のシナリオが形を成してくると、共通のパターンが見えてくる。どのような未来が訪れても合理的だと言える投資が存在する一方で、特定の不確実な仮定が正しくなることに頼らずに成功を収めるために、企業が取り組むべきより根本的な変革も明らかになる。

これらのパターンは、最終的に「後悔のない施策(no-regrets moves)」や、より大きな戦略的転換点を示す。これは、自信に満ちた予測よりもはるかに価値のあるものをリーダーにもたらす。それは、未来が全貌を現しつつある過程において、ビジネスをより強固にするための一連の具体的なアクションだ。

もちろん、2035年がどのような姿になるかを確実に言い当てることは誰にもできない。しかしリーダーは、その未来が訪れるはるか前に、何を始めるべきかについて非常に明確な意識を持つことができる。この違いこそが、先ほどのパネルディスカッションでの質問へと立ち返らせてくれる。

私の同僚が「それを答えるのは非常に難しい」と言ったとき、彼は質問から逃げていたわけではない。会場が答えを求めているからといって、不確実なものを単なる推測で語ることを拒んだのだ。彼は、まず調査を行い、働いている力学を理解し、実際に何が起こり得るかに向けて企業を準備させることを選んだ。言い換えれば、「予測すること」よりも「準備すること」を優先したのである。

新しい形の自信

未来志向のリーダーシップとは、確信と不確実性を同時に抱えることを意味する。リーダーは依然として意思決定を行い、リソースを配分し、人々に方向性を示す必要がある。ただ、未来の多くが未解決のままであることを認識しながら、それらを実行しなければならないのだ。

これは言うほど簡単なことではない。私たちは、自信と確実性を結びつけて考えがちだ。これから起こる変化について最も力強く語るリーダーが、最も明確なビジョンを持っているように見えてしまう。やがて組織は、不確実性を消し去った人物を評価するようになる。たとえその人物が、的外れな予測をさも確実であるかのように話しただけにすぎないとしてもだ。

優れた未来志向のリーダーは、いくつかの問いをあえて未解決のままにしておくことを好む。彼らは、どの前提が構築の土台として十分に強固であり、どの前提が未確定のままにしておくべきかを知っている。新たな証拠が示されれば、自分の権威が損なわれたと感じることなく、自らの考えを改めることができる。彼らの自信は、次に何が起ころうともそれを乗り越えられるという確信から生まれており、その中身が何であるかがあらかじめわかっている必要はないのだ。

多くの人々にとって、「わからない」という言葉は弱さの告白のように聞こえるかもしれない。それが組織のトップに立つ人物の言葉であれば、なおさらだ。しかし、未来を創造しようとするとき、不確実性を率直に受け入れる姿勢は、ある種の強さを反映している。安易な答えに飛びつくのを自制する規律と、次に何が来ようともそれに備えるという自信である。

forbes.com 原文

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