北米

2026.08.31 08:30

イラン攻撃開始から半年 米国が払うべき莫大な代償

イランの首都テヘラン中心部で、首を絞められるドナルド・トランプ米大統領を描いた反米広告。2026年8月23日撮影(Morteza Nikoubazl/NurPhoto via Getty Images)

同盟国からの信頼も失いつつある米国

残念ながら、イランとの紛争によって米国と湾岸諸国の関係が損なわれているだけでなく、より広範な外交関係にも悪影響が及んでいる。トランプ大統領はここ数カ月、イランに対する米国の軍事作戦を支持しなかったとして欧州の同盟国を激しく非難し続けており、報復として欧州に駐留する約7万人の米軍兵士の一部撤退をちらつかせている。

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トランプ大統領は最近、長年の同盟国である韓国がイランとの戦いに参加しないことに対しても不満を表明し、韓国との合同軍事演習を縮小すると脅した。これを受け、同国では米国による安全保障の信頼性に対する懸念が高まっている。

こうしたやり取りの多くは、具体的な政策転換というよりは単なる外交的圧力に過ぎないと考えられるが、トランプ大統領の発言は海外に影響を与えており、イラン紛争への不満から北大西洋条約機構(NATO)や韓国との関係が悪化すれば、米国にとって大きな代償となるだろう。

イラン紛争がもたらしたもう1つの予期せぬ影響として、ロシアが長年にわたり防衛面で協力してきたイランに対し、軍事情報を提供していることが挙げられる。ロシアは、米国がまたしても中東の危機に足を取られている状況から利益を得ている。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、米国がイランに対して精密誘導兵器を使用するごとに、ウクライナに提供できる兵器が減ることを理解している。一方、中国はイラン紛争から利益を得ることにそれほど関心を示しているようには見えず、むしろ世界の貿易体制や自国経済に及ぶ損害を懸念しているようだ。

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米国が支払う代償は今後も拡大する可能性が高い

イランへの経済的圧力を強める米政権は、イラン経済を悪化させ、同国の国民に多大な苦痛をもたらしており、最終的にはイラン側の譲歩を引き出し、外交上の突破口を開く可能性もある。それが、ホルムズ海峡の再開と紛争の犠牲を最小限に抑える上で最良のシナリオだろう。しかし残念ながら、筆者はそれが実現する可能性は高いとは考えていない。むしろ、イランの指導部は、紛争の現在の展開に勢いづいているようで、米国によるホルムズ海峡封鎖が解除されなければ、近いうちに攻勢に出ると表明している。さらに、イランは米国よりはるかに長く紛争による経済的苦難に耐えられると信じているようだ。

先述したように、これにより、経済混乱の継続や断続的な戦闘、散発的な外交交渉が繰り返される中で、イランとの紛争は費用のかさむ膠着(こうちゃく)状態に陥る可能性が高まる。結局、トランプ政権は攻撃前に掲げた目標を達成することも、紛争の最終的な解決を図ることもできないだろう。

イラン紛争は既に人的・物的損失や国際的地位の低下という大きな代償を米国にもたらしているが、米国民は、これまで経験してきたことは、この紛争が最終的に招く代償のほんの一部に過ぎないかもしれないことを理解すべきだ。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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