ドイツ証券取引所グループの調査が12月1日に発表したところによると、11月のMNIロシア景況感指数は、10月の48.3から23.2%減の37.1に下落した。
これは同調査がスタートした2013年3月以降で最悪の数字であるという。
マーケット・ベクトル・ロシア投信(RSX)も0.3%下落し、MSCIエマージング・マーケット・インデックスを下回っている。
ロシアの経済収縮が落ち着くまでにはもう少し時間がかかると投資家たちはみておくべきだ。生産部門の衰退の度合いはいくらか緩やかとはいえ、上向きでないことに変わりはない。景気後退から抜け出せているわけではなく、調査結果からも回復を予感させる要素は見えてこない。
ロシア製品の新規注文もこのところの調査で最低を記録している。そのため先月は需要も生産もともに壊滅的だった。ホリデーシーズンが近づいているにもかかわらず、製造業の市場心理も2月以降で最低レベルまで落ち込んでいる。
悲観的なヘッドラインが現状以上の不況感をあおっているきらいもあるが、受注量の激減については、今月はとくにその他の要素も影響した。
例によって、政治問題だ。
ネガティブな判断材料を加速的に増加させたのは、10月31日のエジプト旅客機墜落事件だ。
ロシアはジハーディスト、およびシリアの反政府部隊に真っ向から対抗する姿勢を示しているが、その結果シナイ湾上空で旅客機を爆破されるという報復を受けた。
調査に応じたうち30.8%の会社が、先月はビジネスをとりまく環境が悪化したと答え、その数は10月から7%増加している。
ただし64.1%はとくに変化はないと答えているのだから、投資家たちはそれを現状と受け止めることもできる。ロシアの足場はまだ完全には崩壊してはいないということだ。
MNI指数によれば、11月に急落したのはおもに建築業で、製造業とサービス業も満足できるビジネス環境にないという結果が出た。
景気停滞が続く中、各企業はここ一年以上、これまでにないペースで在庫を使い尽くしているが、短期間に事態が収拾することはないとふんでいることの現れだろう。
また、どの企業も必要以上の労働力を抱えていると考えている。失業者が溢れ出すのも時間の問題だ。
MNIのチーフエコノミスト、フィリップ・アグローは、調査への回答者たちは、コスト増については不満を述べていないと語っている。その理由は、これまでは競争が激化していたために販売価格の値上げに歯止めをかけていたが、いまは思い通りに値を吊り上げることができるからだという。
「今回の調査が示すのは、景気停滞の影響がついに労働市場にまで達したということです。雇用状況はここ2年で最低レベルを記録しています。」
とアグローは指摘する。
「先日の、トルコ領空内でロシア機が撃墜された事件が起こる前から、西側との関係は緩和されつつありました。EUによる経済制裁措置も1月末で期限が切れる。ただ、外交的見地からさらに6ヶ月間延長すべき、という声もあり、もしそれが実現すればロシアにとっては大きな打撃になります。」
フォーブスが定期的に調査を行なっているデモイン、ニューヨーク、ロンドン、モスクワ各都市のファンドマネジャーたちは、部分的な制裁は少なくとも来年の6月までは撤回されないだろうとみている。
MNIロシアビジネスセンチメントは、モスクワ証券取引所にリストアップされた生産業、サービス業、建築業、農業系らあらゆる業種のエグゼクティブに毎月調査を行なって作成されている。