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2026.08.30 16:18

携帯電話が乗り越えた壁、電力網はいかにして越えるか

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かつて、壁につながれていない電話など誰も想像できない時代があった。その後、無線が登場し、10年もしないうちに通信業界は一変した。電力も今、自らのパラダイムシフトに急速に近づいている。家庭向け電気料金は上昇しており、昨年は約5%上がった。一方、データセンターの負荷は、電力会社が計画を立てられる速度を上回って拡大している。通信業界の歩みは、世界と技術の姿が今とは大きく異なっていた時代に自ら築いた100年来の障壁を、巨大なレガシー産業がいかに乗り越えたかを物語っている。

911緊急通報

1990年代に消費者向けの無線電話が初めて登場した際、911緊急通報サービスは普及に向けた一見克服不能な障壁となった。通信業界は最終的に、ハードウェアからソフトウェアへ移行し、新たなビジネスモデルを採用し、固定電話を前提に築かれた業界を統治してきた規制ルールを適応させることで、この障壁を乗り越えた。

電力網もまた、911問題に相当する独自の障壁に直面している。1世紀にわたり、電力網は発電が需要に追随するよう構築されてきた。需要がいつ、どこで発生しても、それに合わせて発電所を稼働させる仕組みである。今日の急増する需要への解決策は、この発想を反転させる。ソフトウェアとスマートデバイスを使って需要を形成し、移動させ、すでに系統上にある発電に需要を追随させるのだ。この反転は、通信業界と同じ3つの梃子、すなわち新技術、新たなビジネスモデル、規制の見直しによって進む。電力網が今、通信業界が実現したことを成し遂げられるかどうかは重要である。今後の電力網の信頼性と、その利用コストの双方を左右するからだ。

1世紀超にわたる2つの基盤的独占

通信と電力は、ともに規制された独占事業として発展した。通信は1878年1月、コネチカット州ニューヘイブンで始まり、電力網はその4年後、米国初の商用発電所であるロウアー・マンハッタンのトーマス・エジソンのパール・ストリート発電所から始まった。両者はいずれも、すべての人に公平にサービスを提供し、家庭向け料金を低く抑えるために築かれた。そして両者が何よりも報いたものは、物理インフラだった。

無線化は既定路線ではなかった

無線が技術的に実現可能になると、消費者にはどこからでも通話できる自由が約束された。しかし規制当局は、911サービスにとって容認できない信頼性リスクとみなした。911は、固定され、位置を特定できる固定電話回線上で運用されていたからだ。通話が途切れ、発信者の位置が不明なネットワークは、緊急通信を担うには根本的に不適格に見え、普及に対する恒久的な上限のように思われた。

その物語がどう終わったかを、私たちは知っている。通信事業者は高度化された911位置情報システムを構築し、規制当局がそれを承認し、障害は解消された。変革は技術にとどまらず、企業の収益モデル、消費者が支払う料金、業界を統治する規制ルールにまで及んだ。一世代のうちに、無線は目新しいものから標準へと変わった。

電力網を縛るインフラの錨

電力網には、譲れない固定電話に相当するものがある。発電が負荷に追随するというモデルだ。その前提は、信頼性を確保するには、どれほどまれなピークであっても対応できるよう、大量の出力調整可能な電源を用意しておく必要があるというものだ。出力調整可能とは、需要が急増した際にいつでも稼働させられる天然ガス、石炭、原子力、水力のような発電所を意味する。

通信業界と同じく、規制とビジネスモデルはインフラへの資本投資に報いる。この場合は、必要な場所へ電力を届ける発電所、送電線、配電設備である。

再生可能エネルギーが突きつける課題

太陽光と風力は、この20年間、そのモデルに課題を突きつけてきた。どちらも出力調整可能ではないため、電力が流れるタイミングに合わせるには、蓄電池か、移動可能な需要が必要となる。太陽光と風力は今や新設電源として最も安価な電力源であり、毎年、電力網に追加される新規容量のほぼすべてを占めている。

需要を発電に追随させ、ピークを削減するよう管理することは、システムに信頼性をもたらす。しかし、かつて通信業界を悩ませた911をめぐる懐疑は、明かりを灯し続けるために常に発電に依存してきた電力業界にも残っている。需要と価格はいずれも、新たな発電所を建設できる速度を上回って上昇している。

方程式の両辺を管理する

需要を形成するという考え方は新しいものではない。米国の産業顧客は数十年前からこれを行ってきた。オーストラリアでは、スマートデバイスが存在するはるか以前から、家庭用給湯器をこの方法で管理してきた。LeapやVirtual Peakerのような仮想発電所(VPP)企業は現在、インセンティブ付きの電力会社プログラムを通じて、家庭や企業が需要を移動できるようにしている。データセンターも今、同じパターンをたどり始めているが、単一拠点での負荷ははるかに大きい。

デューク大学ニコラス研究所による2025年2月の研究は、データセンターが年間稼働時間のごく一部について短時間、電力使用を抑制した場合に何が起きるかを調べた。その方法なら、既存の電力網は大規模な新規発電所投資なしに、およそ100ギガワットの新たな負荷を吸収できるという。その1年後の追跡研究は、データセンターのピーク需要を1〜2%削減すれば、小売電気料金をおよそ0.5〜2.8%引き下げられる可能性があると予測した。

通信業界とは使う道具は異なるが、同じ原理が当てはまる。柔軟性は、別の方法で信頼性を満たし得る。無線は、消費者が携帯電話を直接購入することによって現実のものとなった。電力網の反転は、データセンター運営者と消費者が電力会社に手ごろな電力を求めることによって、推し進められなければならない。

新たな常態

無線は、一見不可能に思われたことが別の方法で実現し得ると証明することで勝利した。電力網も同じ入り口に立っている。突破口は、発電を増やすことだけではない。今世紀の技術を活用して需要を形成する電力網である。

forbes.com 原文

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