5. 系外惑星10万個を新たに発見する可能性
ローマンは太陽系外惑星を探索する目的で、重力マイクロレンズ法をメインに、副次的にトランジット法などの手法を用い、銀河系内の恒星数億個を継続的に観測する。NASAのトランジット系外惑星探索衛星(TESS)やケプラー宇宙望遠鏡が主星のすぐ近くを公転する惑星しか発見できなかったのとは異なり、ローマンはトランジット法に加えて重力マイクロレンズ法を用いることで、太陽系の外惑星のように主星から遠く離れて公転するより低温の惑星も探索する。「これは、太陽系外惑星を対象とする一斉調査としては史上最大規模のものとなる」と、マケナリーは述べている。
6. 暗黒エネルギーの謎解明に役立つ可能性
天文学者は今なお、宇宙の加速膨張を引き起こしている原因を解明できていない。膨大な数の銀河の位置マッピング、重力レンズ効果の測定、多数のIa型超新星の観測などを通じて、ローマンは暗黒エネルギー(ダークエネルギー)と暗黒物質(ダークマター)に関する史上最も詳細な観測データを提供することにより、今日の標準的な宇宙論モデルが完全なものかどうかを科学的に検証する助けになるに違いない。
7. 天文学者にとって予想外の発見に期待
天文学者がこれほど心を躍らせている理由の1つは、ローマンの極めて大規模な観測により、誰も予想していなかった現象の存在が明らかになると期待されている点にある。NASAのマケナリーは「ローマンの広大な観測範囲が、奇妙な天体や極めて珍しい天体、特異な天体などの発見を可能にするに違いない」として、孤立したブラックホール、自由浮遊惑星(はぐれ惑星)、暴走する超大質量ブラックホールなどを挙げた。「『干し草の山から一本の針を探し出す』ような至難の業の概念そのものを、再定義することになるだろう」として、自身が最もワクワクしているのは、現時点では誰も予測できないような発見についてだと、マケナリーは続けた。
8. 打ち上げは始まりにすぎない
ファルコンヘビーによる打ち上げは最も注目されるイベントになるものの、ローマンが直ちに科学観測を開始できるわけではない。ロケットからの切り離し後、技術者チームは約100日間を費やし、望遠鏡の展開、システムの動作確認、光学系の調整、観測機器のキャリブレーション(較正)などの作業を行う。その後にようやく通常の科学運用が開始されるのだ。打ち上げ後の初期調整作業の監督を支援する統合テストサイエンティストのジェレミー・パーキンスは「これに向けてチームは何度も何度も練習を重ねてきた」と話した。
9. 膨大な量のデータを地球に送信
ローマンは1日あたり約1テラバイトの科学データを地球に送信する見込みだ。パーキンスは、これを「地球から約150万km離れた場所から楽曲100万曲をストリーミング配信する」ようなものと例えている。この観測データの奔流を処理して、ローマン観測計画の巨大なデータセットの中に隠された極めて興味深い発見の数々を天文学者が特定するのを助けるには、最終的に機械学習や高度なコンピューティング技術が不可欠になる。
10. ローマン最大の発見は想像の彼方に
かつてHSTがそうであったように、ローマンもまた、天文学者がまだ思い描くこともできなかった疑問に対する答えをもたらしてくれると期待されている。マケナリーは「ローマンに関して最も心が躍るのは、その発見の可能性だ」として「ローマンからもたらされる最も心躍るものは、驚きに違いないと強く願っており、実際にそう期待しているのだ」と語っている。
長年の開発を要する超大型規模のNASAミッションとしては異例の早さで完成にこぎつけ、いよいよカウントダウンの終了が近づいている。すべてが計画どおりに進めば、ローマンは8月30日に打ち上げられ、史上最大規模となる宇宙パノラマ地図の作成に着手する。これにより天文学者には、近傍の系外惑星から宇宙の進化までのあらゆることを探究するための新たなロードマップがもたらされる。


