手元資金は930億円規模、赤字拡大にも耐えられる
インフレクションは第2四半期末の時点で、現金、現金同等物、使途に制限のある現金、売却可能有価証券を合わせて5億8200万ドル(約931億2000万円)を保有し、有利子負債はない。
一時的に運転資金を押し上げた要因を除くと、この四半期に営業活動で流出した現金は約1400万ドル(約22億4000万円)だった。この流出ペースであれば、現在の手元流動性は、技術開発と商用展開への投資を続けるうえで十分な余裕を残す。
手元資金の厚さが重要なのは、量子コンピューティングが資本負担の重い産業であり、なお初期の段階にあるからだ。業界が意味のある規模へ育つまで技術開発を続けるには、企業に十分な財務的余力が要る。
ただし、投資を続けることには代償が伴う。
調整後の営業赤字は約27億円、投資の代償が表れた
技術開発と商用展開への投資を続けた結果、第2四半期の調整後営業損失は、前年同期の730万ドル(約11億6800万円)から1700万ドル(約27億2000万円)へ膨らんだ。調整後営業損失とは、株式報酬や上場に伴う費用などを除いて算出した損失額である。
値動きは荒く投機的、それでも注視に値する銘柄の可能性
量子関連株は2026年8月の時点でも値動きが極めて激しく、量子技術をめぐる新しい報道、技術面の節目、投資家心理の変化に過敏に反応する。
インフレクションも例外ではない。同社はなお赤字であり、技術は開発の途上にあり、量子コンピューティングが生む商用機会もまだ形づくられている最中だ。
だから私は、インフレクション株を普通の成長株として見るつもりはない。この会社に関心を持つ投資家は、大きな値動きと、商用化の時期が想定より延びる可能性を覚悟しておくべきだ。
その荒い値動きに耐えられる投資家であれば、中核の保有銘柄を補うサテライトとして、小さめの持ち高を取ることには意味があり得る。
私にとってインフレクションが際立つ理由は、単なる増収でも、論理量子ビット30個という目標でもない。十分な手元資金、政府と商用顧客からの支持、中性原子技術、そして何より、エヌビディアとの提携という組み合わせだ。
インフレクション株はこの1年の安値に近い水準で取引されており、依然として投機的な賭けである。だから私も、そういうものとして扱う。それでも、エヌビディアとの提携があるからこそ、インフレクションは投資家が視野に入れておくべき量子コンピューティング企業だと私は思う。
開示:筆者はインフレクション(INFQ)株を保有しておらず、今後72時間以内に持ち高を取る予定もない。本稿は筆者による独立した分析上の見解であり、第三者から報酬は受け取っていない。


