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2026.09.01 11:47

赤字の量子技術企業インフレクション、投資家が「エヌビディアと提携」を見る理由

Rafael Henrique - stock.adobe.com

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量子コンピューターの分野には、IonQ(イオンキュー)やRigetti Computing(リゲッティ・コンピューティング)といった有名どころがある。だが、中性原子方式で量子コンピューターと量子センサーを手がけるInfleqtion(インフレクション、NYSE:INFQ)も、注目に値する1社だ。2026年2月にニューヨーク証券取引所へ上場したばかりの量子技術企業である。同社は2026年4〜6月期(第2四半期)決算で四半期として過去最高の売上高を計上し、2026年通期の売上見通しを引き上げたばかりだ。そして、私がインフレクションに引かれる本当の理由は、おそらくエヌビディアとの提携にある。

4〜6月期の売上高が2倍超、通期見通しも引き上げ

8月12日に発表した第2四半期決算では、売上高が1260万ドル(約20億1600万円)となり、前年同期比116%増えた。同社はこの増収について、買収に頼らない100%自力の伸びであり、すべて量子事業から生まれたものだと説明している。通期の売上見通しは、従来の「4000万ドル(約64億円)以上」から約4300万ドル(約68億8000万円)へ引き上げた。2026年中に論理量子ビット30個へ到達するという目標も、改めて掲げている。

足元の増収は心強い材料だ。ただし技術の面から見れば、論理量子ビット30個という目標のほうが、事業の行方を左右する重要な節目になり得る。

この目標が重要なのは、論理量子ビットが、物理量子ビットの抱える弱点を乗り越えるために考え出された仕組みだからだ。物理量子ビットはもともと不安定で、周囲の環境から入り込むノイズの影響を非常に受けやすい。そこで、複数の物理量子ビットを量子誤り訂正の技術で束ね、安定して信頼できる1つの計算単位に仕立てる。これが論理量子ビットである。

2026年中に論理量子ビット30個へ、誤り訂正が鍵を握る

論理量子ビット30個への到達を2026年中に果たせれば、インフレクションは金融、エネルギー、精密医療といった領域で、顧客の計算業務を引き受けられるようになる。同社はすでに、中性原子を使う自社基盤で論理量子ビット12個を実証済みだ。計算中に生じた誤りを検出し、原子が失われた場合にも補正できる仕組みを備えたものだった。

中性原子技術では、レーザーを使って個々の原子を真空中に捕らえ、その場に保持する。この方式なら、他の一部の量子コンピューターが必要とする、極低温まで冷やすための巨大で高価な冷却設備が要らない。

米政府と企業の案件が同時に進行、受注と選定が積み上がる

第2四半期からその後にかけて、インフレクションは量子コンピューティングと量子センシングの両面で、主要なプログラムを前進させた。米商務省による資金提供の提案、イリノイ州向けに受注した誤り耐性(フォールトトレラント)量子コンピューター、商用顧客との取り組み拡大、そして米エネルギー省が進める「ジェネシス・ミッション」3件への選定である。詳細は次のとおりだ。

米商務省が160億円規模の支援を提案、株式取得も想定

米商務省からは、最終契約と政府の承認を条件に、最大1億ドル(約160億円)の資金提供を受けられる。同省が示した基本合意書(LOI)では、あわせて米商務省がインフレクションの普通株式を取得することも想定されている。

2027年にイリノイ州へ量子コンピューターを納入、論理量子ビット100個を狙う

インフレクションは、イリノイ量子・マイクロエレクトロニクス・パークに中性原子方式の量子コンピューターを2027年に納入する契約を結んでいる。この装置は、誤りが起きても訂正しながら計算を続けられる誤り耐性を備え、構成単位を後から足して規模を広げられるモジュール式の設計を採る。まず論理量子ビット50個超まで拡張し、最終的にはシステムとして100個へ到達することを目指す。

電力管理機器のイートンが試用、エネルギー課題への応用を探る

商用顧客との取り組みも広がっている。電力管理機器を手がけるイートンは、専用のクラウド環境からインフレクションの量子コンピューター「Sqale」に接続し、複雑なエネルギー問題に量子コンピューティングを応用できるかを探っている

原子力や核融合の研究で、ジェネシス・ミッション3件に選定

インフレクションはさらに、原子力分野への応用、量子センシング、核融合研究にまたがる3件で、米エネルギー省のジェネシス・ミッションにも選ばれた。ジェネシス・ミッションは、AIと先端計算を使ってエネルギーや安全保障の研究を加速させる米政府の国家プロジェクトである。

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