AIによる自動返信は裏目に出る可能性も
求職者であれば、こうした研究結果を見ると返信を自動化したくなるかもしれない。だがハートは人工知能(AI)が生成した即時のメッセージでは人間が実際に返信した場合と同じメリットが得られない可能性があると警告している。米経営学誌『ハーバード・ビジネス・レビュー』に最近掲載された記事で、ハートと共著者である米ヴァンダービルト大学のエリック・M・ヴァンエップスは、メッセージが自動生成されたものではないかと研究参加者が疑った場合、返信の速さの優位性は失われたと説明している。
「アルゴリズムによる返信の速さは親しみやすさや能力、対応の良さを全く伝えない。そのため、素早い自動返信はむしろ裏目に出て、採用されにくくなることさえある」とハートは述べている。
AIは返信の校正や内容の見直しには役立つが、ありきたりな返信をAIに作らせてしまうとスピードによって本来伝えられるはずの人間らしい資質が失われてしまう可能性がある。素早い返信が評価されるのは、あなたが問い合わせに気づき、それを重要だと考えて返信することを優先したと雇用主が考えるからだ。
「スピードの価値」を生かす5つの方法
資格や経験、面接での受け答え、企業文化との適合性は依然として重要だ。だが返信の速さは雇用主がそうした強みを評価できる段階まであなたが進めるかどうかに影響を及ぼす可能性がある。求職者であれば、携帯電話を四六時中チェックすることなく、次の方法でこの研究結果を生かすことができる。
1. 可能性のある応募先に関する通知をオンにする。採用担当者や求人プラットフォーム、すでに連絡を取り合っている雇用主からのメッセージが通知されるよう設定する。
2. 迷惑メールフォルダを確認する。面接への招待メールが迷惑メールの中で気づかれないままになっていれば素早く返信することはできない。
3. 簡潔な返信のテンプレートを用意しておく。問い合わせを受け取ったことを伝える、面接を承諾する、回答期限の延長を求めるといった内容の基本的な文面をあらかじめ用意しておき、その都度メッセージ内容を調整する。
4. 必要に応じて簡潔に返信する。連絡を受け取ったこと、そして関心があることを伝えるだけなら、全ての詳細がそろうまで待つ必要はない。
5. いつまでに対応するかを明確に示す。質問に答えたり、資料を提出したりするために時間が必要なら、いつ連絡するのかを具体的に伝える。
関心のある雇用主から連絡が来たら時間が重要になる。「その瞬間から時計が動き出す」とハートは言う。「スピードはあなたがどれだけ迅速に対応する人物なのか、ひいては採用の可能性を示すはるかに大きなシグナルになり始める」
AIによって採用環境が大きく変わり、応募が殺到している。連絡を突然絶つ「ゴースティング」が横行し、不信感が広がっている。そうした競争の激しい就職市場において、求職者たちは他者との差別化を図ろうと複雑な方法を探し求めている。
最新の研究は、最も効果的な戦略の1つは最もシンプルな方法でもあるかもしれないことを示唆している。雇用主から連絡が来たら素早く返信すること。そして、その返信が紛れもなく人間によるものだと感じられるようにすることだ。


