エヌビディアがHugging Face(ハギングフェイス)を129億ドル(約2兆500億円)で買収することに両社が合意した、とニュースサイトの『The Information』が報じた。
ビジネスリーダーがこのニュースから読み解くべき真の問いは、エヌビディアが買収後に何をするかということではない。『Business Insider』は、合意書はまだ署名されておらず、交渉が破談になる可能性もあると伝えている。両社ともにコメントを発表していないが、エヌビディアが通常、誤報を即座に否定する同社の慣例を鑑みると、この沈黙は重要だ。
仮にこの取引が成立すれば、8月における2件目となる大規模なAIインフラの買収だ。ここで考えるべきは、自社のAI戦略が依存しているプラットフォームについて、この取引が何を物語っているのかを理解することだ。
エヌビディアの買収報道、そもそもHugging Faceとは何か?
Hugging Faceを利用したことがない読者に向けて、その概要を簡単に整理しておきたい。MetaやMistralのような企業がオープンソースのAIモデルをリリースするとき、つまり誰もがダウンロードし、検証し、自身のコンピュータで実行できるモデルを公開するとき、そのモデルを保存しておく場所が必要になる。Hugging Faceは、まさにそれらのモデルが存在する場所だ。
Hugging Faceはオープンソースモデルに加えて、トレーニングやテストに使用されるベンチマーク評価やデータセットをホストしている。
AI業界における「公立図書館」のような存在だと考えるとわかりやすい。
開発者は本の代わりにモデルを「借りる」ことができ、Hugging Faceが特定の半導体メーカーやクラウド事業者を優遇することがなかったため、誰もがこの図書館を信頼していた。そして、AIが急速に普及する現在の発展段階において、その中立的な信頼性は極めて高い価値を持っている。
注目すべきは、GitHubが7時間にわたってダウンしたのと同じ日に、Cursorが競合となるコードホスト「Cursor Origin」を立ち上げたことだ。GitHubやOriginは開発者がコードを保存して共有する場所であり、Hugging FaceはAIモデルを保存して共有する場所である。
エヌビディアによる129億ドルの買収計算
Hugging Faceの年間売上高は約1億5000万ドル(約238億円)であり、エヌビディアは売上高の約86倍の価格を支払うことになる。売上規模の獲得だけを目的に、これほど高水準の売上高倍率(マルチプル)を支払う企業はない。
OpenAIやグーグル、アマゾン、アンソロピックが独自の半導体を開発するなか、チップ市場におけるエヌビディアの圧倒的優位性は圧力を受けている。しかし、オープンモデルをダウンロードする開発者は、それを実行するためのハードウェアを依然として必要としており、それは通常、エヌビディアのGPUを意味する。



