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2015.12.04 13:55

Eコマースとの競争激化で、中国のショッピングモールが交流の場に

Lewis Tse Pui Lung / shutterstock

Lewis Tse Pui Lung / shutterstock

中国のネットショッピング市場は、2014年に12兆3,000億元(約237兆3390億円)にまで成長し、多くの識者が同国の従来型店舗の先行きについて悲観的な見方をしている。

しかし、TaobaoやJD.comなどのEコマース企業が力強い成長を見せる一方で、中国商務省の統計では、2014年のショッピングモール売上高も前年比で7.7%増えているのだ。

最近の経済成長率の鈍化にもかかわらず、中国でEコマースとショッピングモールの両方が速いペースで成長できているのは、その両方が、増え続ける中国国内の消費者に対して便利な機能を提供しているからであり、特に非ネット型商業施設の場合は、オンライン市場や他の市場にない社会的機能を提供しているためと考えられる。

週末はウィンドウショッピングに

20年もの間記録的な経済成長が続き、中国人がより多くの可処分所得と余暇を手に入れた結果、ウィンドウショッピングを意味する言葉であるGuangjieが、中国の新興富裕消費者の多くにとっての主な娯楽になった。

公園やスポーツジム、またはその他の活動に使えるような共有スペースがない地域では、短期間でショッピングモールが住民たちの交流の場になったが、特に、家が狭く、数世代が一緒に住むことが多い中国においてはその傾向が強く見られる。ショッピングモールが、人々が外出を楽しみ、余暇を過ごす場所となって、それ自体が人々を引き寄せるようだ。

世界的な建築企業であるAedasの業務執行取締役クリスティーン・ラム氏は、次のように話している。「ショッピングモールは、必要物資が流通する店舗を収容するつまらない箱から、人々が長く滞在し、消費意欲が刺激され、また買い物客がうっとりしながら店舗を見て歩けるように、飲食、娯楽と公共のために使われるスペース、そして多くの場合昼間のように明るいアーケードが一体となった生活の中心の場に変貌を遂げました。それはまさに消費の宮殿です」

中国において、ショッピングが社会的な活動として重要な役割を果たしていることが、マッキンゼーの調査からもわかる。同社が中国の消費者動向を調査したところでは、回答者の73%がショッピングをレジャーとしてとらえており、また約半数が「家族と共に時間を過ごす最良の方法の一つ」としている。

オンライン店舗が社会的ショッピングを最前線に

中国の消費者が日常の買い物をオンラインで済まし、娯楽や社会的な活動にはショッピングモールを利用するようになるにつれ、ショッピングが社会的な活動となる現象は重要性を増している。

ラム氏はまた、「オンライン店舗の影響力が増すにつれ、ショッピングモールは消費の宮殿から経験の宮殿に変わっていく必要がある」と言い、さらに「世界中のどこにでもある小売環境から脱し、テナント誘致、販売企画、空間特性、機能性、社会的および文化的反響などを様々な形で実行に移し、ユニークな経験を作り出していくことを今後の方向性とするべき」と話している。

地域に合ったショッピングモール作り

不動産コンサルタント会社JLLの予想では、今後3年間で中国で新規にオープンするショッピングモールは4,000万平方メートルに上るとのことであり、不動産開発業者や設計事務所は、新規開発プロジェクトが消費者のトレンドおよび地域の特性に合致するよう努力を怠らない。

建築企業Benoyのグローバル・ダイレクター兼香港事務所長Trevor Vivian氏は、「その地域、住民、買い物客など全ての面において特有のアイデンティティが必要」と言う。

高級ブランドの品揃えで人気の高い上海のモールiAPMを設計した世界的な設計会社では、造園を施したテラスや、上海の石庫門通りにある伝統的家屋の建築様式などの細かな要素をHuaihai Roadのショピングセンターに取り入れようとした。

この130,000平方メートルに及ぶ商業地に、近隣地区の他の要素として組み込まれているものには、7階建ての各フロアに大通りに面して作られた何列もの「ダイニングボックス」がある。手入れされた庭に編み込まれた大通りスタイルのテラスが、市のXingyang公園に面した上部階の小売スペースに、通り沿いのカフェの雰囲気を再現してくれるのだ。

モールのより広い場所を飲食スペースが占める

中国のショッピングモールにおいて飲食店の重要性が増してきていることを考えれば、iAPMが魅力的な飲食スペースを作ることを重視するのは当然のことである。

Mingtiandiの個人投資家向け不動産白書China Mall 2020の調査によれば、中国のモールではフロア面積の30-40%を飲食スペースに割いているとのことで、この比率は2007年以前の10-15%から大幅に上昇している。

BNPパリバの調査では、富豪として有名な王健林氏が経営する大連万達商業地産の子会社の万達広場では、小売スペース全体の40%から50%を人々の交流の場所として割り当てており、また、中国政府が支援する開発業者でジョイシティというモールをチェーン展開するCOFCO Landでは、最大40%を割り当てているとのことだ。

アメリカのREITであるTaubman Centersの子会社で、現在、中国の鄭州市と西安市でショッピングセンターを開発中の不動産開発会社Taubman Asiaの中国におけるマネジング・ディレクターGuohua Jean Zhang氏は、中国のモールは住宅開発の一部として建設されることが多いため、飲食や娯楽のスペースの比率が高くなるのは自然の成り行きであると指摘している。

Zhang氏は、「過去15年間で、中国の消費者は、伝統的な百貨店型からショッピングセンター型への購買環境の激変を経験しました」と説明している。そして「その結果、不動産開発プロジェクトでは、住宅、オフィス、商業施設など様々な用途を兼ね備えた混在型の開発が増加し、モール業者も、ショッピング、飲食、娯楽を同じ建物内に混在させるやり方を取るようになったため、今ではこの形が中国人のライフスタイルの中心部分を構成するようになりました」と話す。

しかしながら、混在型のプロジェクトが増えているとしても、賃貸スペースの50%以上を飲食に頼っているようなモールは、企画自体に問題がある場合が多いとZhan氏は指摘する。

社会的ショッピングの増加に伴いモールも大型化

ショッピングモールにおける飲食および他の社会的活動が増えた結果、特に、来場者数を増やす目的で、開発業者が店舗以外に使うオープンスペースを増やしていった結果、中国のショッピングセンターのさらなる大型化が進んだ。

BenoyのVivian氏は、「私たちは、共有スペースこそがカギだと言っています」として、「それはイタリアの旧市街広場のような場所かもしれません。そこではいつも何かが起きているんです。そこでは何か新しいことが起きていることが必要で、人々がそれを目当てに集まってくるのです」と言う。

JLLの調査では、上海だけを見ても、新しいショッピングモールの平均的な広さは、過去15年で40,000-45,000平方メートルから今日の90,000平方メートルへと倍になっている。中国全土では、ショッピングモールの平均的な広さは95,000平方メートルと、他の国々の平均よりも少なくとも30%大きく、いくつかのより大きなモールには200,000平方メートルを超えるものもある。

編集 = Forbes JAPAN 編集部

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