研究者らがQ-carbonと呼ぶその物質は、同じく固体炭素として知られるグラファイト(石墨)やダイヤモンドとは異なるという。
「自然界でこの物質が発見されるとすれば、どこかの惑星の核(コア)の部分でしょう」と、同研究チームのJay Narayanは言う。彼はこの発見に関する3つの論文の筆頭著者であり、論文の一つは11月30日、Journal of Applied Physicsに掲載された。
Q-carbonは強磁性体であり(これは個体炭素としてはあり得ないことだと考えられていた)、ダイヤモンドより硬く、わずかなエネルギーで発光する。
「Q-carbonの硬さとエネルギー効率の良さ、つまりすぐに電子を放出する性質は、電子ディスプレイ・テクノロジーの発展に寄与するものと期待されます」とNarayanは説明する。
またQ-carbonを利用して、ダイヤモンド結晶構造をつくることも可能だ。まず、ガラスやプラスチックポリマーといった基になる材料を元素状炭素(エレメンタル・カーボン)でコーティングし、それに一瞬レーザーを当て、厳密に制御された方法で急激に冷やすとQ-carbonができる。この冷却過程を調節することで、Q-carbon内にダイヤモンド結晶構造をつくることが可能だ。
「ダイヤモンドのナノニードルやマイクロニードル、ナノドット、あるいはもっと広範囲をカバーするダイヤモンドのフィルムを作ることができます。薬物の投与や産業プロセスに役立つほか、高温用スイッチの製造や電力工学にも利用可能です。こうしたダイヤモンド製品は単結晶構造のため、多結晶の素材を利用したものより硬質です。しかも、常温常圧で製造することができ、基本的に目のレーザー治療に使用されるようなレーザーを使用するので、応用品の開発が容易なだけでなく、製造工程にかかる費用は比較的安く済みます」とNarayanは話す。
NCSUは、Q-carbon及びQ-carbonを利用したダイヤモンドの製造技術に関して、暫定特許の申請を行った。