おもちゃ売り場の通路を歩けば、ディズニー・プリンセスのブランドを冠した数多くのグッズや商品が目に入るだろう。定番の人形やドレスから、抱きしめたくなるようなぬいぐるみまで、ディズニー・コンシューマ・プロダクツのプリンセス向け商品ラインは、何十年にもわたり人々の心を魅了し、財布の紐を緩めさせてきた。しかし、ディズニー・プリンセスが、自分がおとぎ話の主役になることを夢見る小さな女の子たちだけのものだった時代は終わった。現在、ディズニー・プリンセスは世界的な広がりを見せており、子どもから大人までを対象とした商品展開を行っている。
2000年にディズニー・プリンセスブランドが誕生した当初は、8人のプリンセス(アリエル、ベル、シンデレラ、ジャスミン、ムーラン、ポカホンタス、オーロラ姫、白雪姫)で構成されていたが、現在では13人(オリジナルの8人に加え、モアナ、ラプンツェル、ティアナ、メリダ、ラーヤ)にまで拡大している。ブランドが立ち上げられた当初、個々のプリンセス商品の売上高は3億ドル(約479億円)だった。その後、ブランドが統合されてからわずか5年で、ディズニー・プリンセスの世界における商品小売売上高は30億ドル(約4790億円)を突破した。
「ディズニー・プリンセスは、世代を超えて消費者とつながるグローバルなライフスタイルブランドへと成長しました。映画やパークの枠を超えてディズニーのストーリーテリングを広げる商品や体験を通じて、ファンや家族が愛されるプリンセスキャラクターと日常のなかで新しく意義深い形でつながる機会を創出しています」と、ディズニー・コンシューマ・プロダクツのブランド・コマーシャライゼーション担当エグゼクティブ・バイス・プレジデント、ポール・ギッターは語る。
ディズニー・プリンセスの製品は、玩具、ファッション、ビューティーから、ホーム、アクセサリー、コレクターズアイテムまで多岐にわたり、人生のあらゆるステージにいるほぼすべての人が手に取りやすいブランドとなっている。また、定番のフランチャイズであるため、プリンセスをテーマにした商品は、子ども用であれ大人用であれ、年間を通じて常に需要がある。
近年、このブランドは世界最大のライセンサーでもあるディズニー・コンシューマ・プロダクツにとって極めて大きな収益源となっている。実際、ギッターによると、2025年のディズニー・プリンセスの世界小売売上高は10億ドル(約1600億円)以上に達したという。これは、2025年におけるディズニー・コンシューマ・プロダクツ全体の小売売上高630億ドル(約10兆1000億円)の一部にすぎないが、プリンセスの根強い人気を示している。近年、販売数は約1億個に達している。「別の言い方をすれば、近年の販売数によって、全米のほぼすべての子どもの手にディズニーの人形が届く計算になる」とギッターは言う。
生涯にわたる消費者の創出
過去数年間、ディズニーはパンドラ、リトル・ワーズ・プロジェクト、バス&ボディ・ワークスといった企業とのブランドコラボレーションに加え、アメリカン・ガールやファッションハウスのヴィクター&ロルフとのパートナーシップによる人形などのコレクターズアイテムを通じて、大人向けのディズニー・プリンセス商品を拡大し続けてきた。
「私たちの戦略は、コアな対象である幼い子どもたちへのサービス提供を継続しながら、ファッションやビューティーなどを通じて、年長のファンや大人に響くような製品表現を構築していくことだ」とギッターは述べる。
これらの戦略的なコラボレーションは、考え抜かれた商品を市場に届けるだけでなく、かつて好きだった映画やキャラクターへのノスタルジーを刺激することで、ブランドから離れていた大人たちを再びディズニー・プリンセスへと呼び戻す。また、こうしたコラボレーションは、すでにディズニーの他サービスを十分に利用している人々にとっても、有意義なディズニーブランドとの接点をもたらす。ディズニーは実質的に、ファンが多くの時間を過ごす職場や自宅といった場所に先回りしてファンを迎え入れているのだ。
大人向けの商品は限定版や期間限定販売であることが多く、すでにディズニーに親しみを持っている人々の購買欲求を強く刺激する。例えば、ディズニー・プリンセスが2025年にバス&ボディ・ワークスと初のコラボレーション商品を発売した際、その商品は即座にバイラルで話題となった。6人のプリンセスにインスパイアされたキャンドル、ソープ、デコレーションなど、全85品からなる初期ラインナップはインターネット上で大きな話題を呼び、実店舗には長蛇の列ができ、オンラインストアでは数時間で完売する事態となった。
売上以外の面では、一人の消費者におけるディズニー・プリンセスというブランドの寿命の長さは、ブランドが顧客とともに自然に成長できる能力にある。親は子どものためにディズニー・プリンセスをテーマにした人形やプレイセットを購入するかもしれない。その子どもたちは、10代前半(トウィーン)やティーンエイジャーになるとプリンセスをテーマにしたアクセサリーを購入するようになり、大人になるとインテリア用品や高級品を購入し続ける。こうして、生涯にわたるブランドの消費者となっていくのだ。



