「指先でタップし、山を動かす」とGravis Roboticsのホームページにはある。スイスに拠点を置く同社は、掘削機、バックホー、ブルドーザー、クレーンを1台も製造していない。だが、重建設機械という鉄の塊に極めて高度なAIの頭脳を加えようとしている。そして今、特定のスタートアップに巨額の資金を投じることで、その分野の勝者を決めにいくことの多い日本発のテクノロジー投資家ソフトバンクが、それを実現するために2億ドル(約319億円)の資金を投じた。
同社によると、これは建設ロボティクス史上最大のシリーズAである。
Gravis Roboticsが販売するのは、現場にすでにある機械に取り付ける制御キット「Gravis Rack」だ。同社によると、このRackはCaterpillar、John Deere、Volvo、JCB、Hitachi、Case、Develon、Sumitomo、Yanmarの機械に導入されている。設置後、オペレーターはAIの支援を受けながら機械を操作でき、自分が適切な位置にいて適切な作業をしているかを確認できるほか、機械に作業内容を定義してスタートボタンを押すこともできる。リモートモードも用意されており、オペレーターは映像ストリームを通じて1台または複数台の機械を監視できる。必要に応じて手動制御に切り替えられるよう、タブレットに接続するジョイスティックやペダルの周辺機器もオプションで用意されている。
Gravisは、熟練者による手動操作のピーク時と比べて、最大30%の生産性向上を実現できると主張している。
「熟練オペレーターは、エンジンの負荷音を聞き、機械の振動を感じ、油圧抵抗に反応することで、微細な物理的フィードバックを通じて地面を読み取る」とGravisのCTOであるドミニク・ジャッド氏は声明で述べた。「当社のAIは同じ物理入力を取り込み、それを機械のテレメトリーに結び付ける」
Gravisはすでに昨年11月、IQ CapitalとZacua Venturesが主導したラウンドで2300万ドル(約36億7000万円)を調達していた。7月下旬には、Bloombergが、ソフトバンクが同社を5億ドル(約798億円)超で評価する全面買収を検討していると報じた。その3週間後、ソフトバンクはその2倍の評価額で少数株式の取得に落ち着き、Gravis Roboticsの評価額は10億ドル(約1600億円)となった。
「フィジカルAIは、AIの次なる段階に向けたソフトバンクのビジョンの中核をなす」とソフトバンクグループのマネージングディレクター、坂田大氏は述べた。
ソフトバンクは昨年10月にABBのロボティクス部門を53億7500万ドル(約8580億円)で買収し、今夏にはBoston Dynamics株の売却を完了した。要するに、高い可能性を秘めた有名なデモ企業を、既存の産業分野における導入基盤と交換した格好だ。
Gravisはなお、後付け型自律化が既存の実証実験を超えて規模拡大できること、そして自社スタックを構築する重機メーカーに対抗できることを証明しなければならない。また、SafeAIという有力な競合も存在する。ただし同社は鉱業により重点を置いている。さらに、建設機械向けにブランドを問わない監視型自律化の後付けキットを提供するTeleoのような企業もある。
とはいえ、Gravisは今や、スタートアップの競合他社よりもはるかに潤沢な資金を手にしている。
「未来を築くには、文字どおり世界を変える必要がある」とジョンズCEOは述べた。「あらゆるプロジェクトは、土を動かすことから始まる」



