米連邦地裁は米国時間8月27日、国防総省がAI開発企業のアンソロピックを安全保障上のリスクと見なして取引から締め出した措置は違法だとする判断を示した。国防総省はアンソロピックを、調達先から排除する「サプライチェーンリスク(供給網リスク)」に指定し、米軍と取引する企業がアンソロピックと商取引することまで禁じていた。この指定によってアンソロピックは、米政府と仕事をする道を事実上絶たれていた。自社技術の軍事利用に安全策を残すよう求めた立場ゆえに違法な報復を受けたとして、アンソロピックが国防総省を提訴してから5カ月余りを経ての判断となる。
政府批判への報復と認定、サプライチェーンリスク指定は違法
判決を出したのは、カリフォルニア州北部地区連邦地裁のリタ・リン判事である。リンは判決で、双方が争っていない事実に照らせば国防総省による一連の行為は「憲法修正第1条に違反する違法な報復に当たる」と記した。修正第1条は、言論の自由を保障する規定である。その上でリンは、ピート・ヘグセス国防長官が下した締め出しの決定を「恣意的で不合理」だと断じた。
一連の行為を正当化するために政府側が提出した記録について、リンは「乏しい」と指摘した。リンは、国防総省が当時公にした発言と実際に取った行動を踏まえ、締め出しの狙いは政府を批判した「傲慢さ」を理由にアンソロピックを見せしめにすることにあったと述べた。
取引先を選ぶ自由はあっても、締め出しに根拠はない
リンは、締め出しの決定にはヘグセス自身の過去の言動と矛盾する点があるとも指摘した。ヘグセスは締め出しが始まる数日前、企業に物資やサービスの供給を強制できる国防生産法を発動すると、アンソロピックに対して威嚇していた。強制してでも同社の技術を使おうとする構えは、アンソロピックが「脅威ではなく国家安全保障に不可欠」な存在であることを示していたからだ。
リンは、国防総省がどのAI企業を取引先に選ぶかは自由だと認めた上で、この裁判で示された証拠は「アンソロピックに課された広範な措置が違法かつ根拠のないもの」だったことを示していると述べた。
ワシントンでは2件目の訴訟、政権が上訴する時期は不明
国防総省とトランプ政権を相手に対立を続けるアンソロピックにとって、8月27日の判決は大きな法的勝利である。アンソロピックはサプライチェーンリスク指定をめぐり、ワシントンの連邦控訴裁にも2件目の訴訟を起こしているが、判断はまだ示されていない。ワシントンの訴訟は、国防総省がサプライチェーンリスク指定を正当化するために持ち出したもう1つの規定を対象としており、カリフォルニアで争われた規定とは異なる。トランプ政権がワシントンでの判断を待ってからリンの判決を不服として上訴するのかどうかは、明らかになっていない。



