利益は厚く余力も大きいが、需要想定が外れる危険は残る
こうした購入契約を結べる余力という点で、エヌビディアに並ぶ企業はほとんど思い浮かばない。第2四半期のGAAP(米国会計基準)営業利益は637億ドル(約10兆1920億円)に達し、純利益も600億ドル(約9兆6000億円)に迫った。この3カ月間に約260億ドル(約4兆1600億円)を株主へ還元し、7月26日時点で自社株買いの枠がさらに990億ドル(約15兆8400億円)残っている。
たいていの企業は、エヌビディアより乏しい稼ぐ力のまま、大型の投資局面へ突き進んできた。
それだけの余裕があれば読み違えても耐えられるが、財務の強さをリスクがないことと取り違えるつもりはない。
第2四半期の内容を見た後で、AI需要が一夜にして消えるのではないかと気を揉むつもりはない。それよりはるかに関心があるのは、このAI投資の局面がどこまで続くのか、そしてエヌビディアが押さえた供給が、顧客が最終的に必要とする量と合い続けるのかである。
成長率が落ちても困らないが、顧客が買わなければ部材が余る
成長率が100%から70%へ落ちること自体は、さほど気にならない。気になるのは、顧客がデータセンターの建設を遅らせ、購入を先送りし、必要な計算資源はもっと少なくて済むと判断することだ。はるかに高い需要想定を前提に、エヌビディアが数年分のメモリーと製造能力をすでに押さえてしまった以上、顧客側のこうした変化はとりわけ重くのしかかる。
第2四半期の決算は、エヌビディアが2029年1月期に向けて生産枠を押さえすぎたかどうかまでは教えてくれない。2790億ドル(約44兆6400億円)という購入契約のほうが、その時期までに世界が何を必要とすると経営陣が考えているかを、はるかによく示してくれる。
現在、最高経営責任者(CEO)を務めるジェンスン・フアンには、十分すぎるほどの裏づけが揃っている。売上高は倍増し、顧客はさらなる供給を求め続け、エヌビディアはAIインフラ整備の中心に居座り続けている。そのどれに対しても、軽々しく逆張りしようとは思わない。
エヌビディア株を巡る論点は、もはや、作ったチップを全部売り切れるかどうかだけではない。2790億ドル(約44兆6400億円)に上る部材と生産枠の購入契約を背に、エヌビディアは数年後に顧客が何を必要とするかという自らの読みだけを頼りに、明日の供給を桁外れの量で押さえている。第2四半期に、AI需要がまもなく消えると思わせるものは何もない。私はただ、数年後の需要が実際にどうなるのか判明する前に、エヌビディアがどこまで先の分まで契約を結ぶ気でいるのかを見ている。


