部材を押さえる一方で、データセンター建設の資金も呼び込む
2790億ドル(約44兆6400億円)という数字は、AIデータセンターの建設費を集めるためにエヌビディアが打っている手と並べると、また違って見えてくる。
エヌビディアは現在、AI基盤づくりの入り口と出口の両方に関わっている。AIシステムを作るために必要な部材を押さえる一方で、そのシステムが最終的に収まるデータセンターを建てる資金が十分に集まるよう、後押しもしている。
2026年8月に入り、エヌビディアは運用・投資大手のアポロ、ブラックロック、ブラックストーン、ブルックフィールド、ゴールドマン・サックス、KKRとの提携を発表した。狙いは、AIの計算基盤へ5000億ドル(約80兆円)を超える第三者資本を呼び込むことにある。私が興味を引かれるのは、エヌビディアがなぜそうした資金供給の網を作りたがるのかという点だ。AIデータセンターが1つ増えるたび、エヌビディア製機器の置き場所が1つ増える可能性がある。
オハイオ州の事業では、16兆8000億円を上限に保証を負う
より直接的な取り決めもある。エヌビディアは先ごろ、米オハイオ州で進むOpenAI向けデータセンター事業に関連して、残存価値保証を引き受けることで合意した。借り手が支払えなくなった場合に、賃貸契約であらかじめ定めた最低保証額と実際の回収額との差額を穴埋めする仕組みで、当初分の支払い義務は累計1050億ドル(約16兆8000億円)を上限とする。エヌビディアが実際に支払った金額はOpenAIが払い戻し、補償することで合意しているため、この1050億ドルという上限額を、そのまま想定損失として扱うつもりはない。それでも、保証の引き受けにまで踏み込む姿勢は、物理的なAIインフラを広げることがエヌビディアにとってどれほど重要になったかを物語る。
私は最近、AIブームを支える資金の流れについて書いた。投資家がその資金の流れに払う注意が少なすぎると考えたからだ。第2四半期の決算は、需要が本物だという私の確信を強めた。同時に、その需要を囲むように築かれつつある仕組みが、どれほど巨大になりつつあるかも見せつけた。
AI投資がエヌビディアの想定に近い勢いで伸び続けるなら、これは見事な布陣だったということになり得る。エヌビディアは自らのバランスシート、取引関係、市場での地位を使って希少な部材を押さえ、自社製品を使うインフラの建設まで加速させたことになる。
私がより慎重になり始めるのは、企業が生産枠を押さえ、インフラへ資金を回す速さが、実際の需要の伸びを追い越したときだ。


