部材が足りるかという不安は薄れ、押さえすぎる不安が生まれた
第2四半期の内容を見る限り、エヌビディアの需要予測がこれまでのところ外れていると示す材料は、ほとんど見当たらない。
データセンター部門の売上高は117%増えた。最新世代のデータセンター向け基盤である「Vera Rubin(ヴェラ・ルービン)」は本格量産へ移行しつつあり、Google Cloud、Microsoft Azure、Oracle Cloud Infrastructure、CoreWeaveといった提携先で、すでにシステムが稼働している。需要は大手クラウド事業者の枠を越え、AI研究機関、一般企業、国家単位でAI基盤を整える政府系顧客、産業分野の利用者へと広がっている。経営陣が示した来期見通しは、ウォール街が織り込んでいた水準を大きく上回った。
支払いは2029年1月期まで伸び、読み違えが許されなくなった
問題は、半導体のサプライチェーンが、発注から納入までに長い時間を要する世界だという点にある。エヌビディアが結んだ購入契約の支払いは数年先まで伸びている。今会計年度である2027年1月期の残り期間に約920億ドル(約14兆7200億円)、2028年1月期に870億ドル(約13兆9200億円)、2029年1月期にさらに880億ドル(約14兆800億円)が割り当てられている。
かつて私は、エヌビディアが十分な供給を確保できるのかを心配していた。その心配は薄れつつある。数年先の生産枠まで先回りして押さえた以上、エヌビディアは顧客が最終的にどれだけ必要とするかについて、これまで以上に正確でなければならない。
メモリーと製造能力の予約は、半年でほぼ3倍に膨らんだ
半導体企業は昔から、完成品が顧客の手に届くはるか前に、受託生産会社、メモリー各社、後工程を担うパッケージング業者などへ発注を確約してきた。
だが、現在の金額はまるで桁が違う。
2026年1月末時点でエヌビディアが計上した製造・供給・生産能力に関する購入契約は、952億ドル(約15兆2320億円)だった。4月末の第1四半期末には1190億ドル(約19兆400億円)になった。そして現在は2790億ドル(約44兆6400億円)である。およそ半年で、金額はほぼ3倍に膨らんだ。
決算説明会で楽観的な一言がもう1つ増えるより、2790億ドルという金額のほうが経営陣の自信をよほど雄弁に語る。エヌビディアが押さえているのは、進行中の第3四半期を越え、次の製品投入を越え、先々の会計年度にまで及ぶ生産枠だ。こうした契約はおそらく、支払いが実際に発生する数年後にAIインフラ投資がどうなっているかという同社の見立てに基づいて結ばれている。
広帯域メモリーを押さえれば、競合他社に差をつけられる
エヌビディアがここまで先回りする理由は理解できる。広帯域メモリー(HBM)はAIインフラで重要なボトルネックの1つであり、競合他社が手を出せない供給枠を押さえること自体が優位性になり得る。実際に押さえられれば、システムをより多く出荷でき、新しいアーキテクチャーを素早く顧客へ届けられ、品不足が代替技術に付け入る隙を与えるリスクも減らせる。
とはいえ、これほどの量を需要に先んじて押さえるのであれば、予測をおおむね当てることの重みは増す。
エヌビディア自身も、顧客が新しいアーキテクチャーの導入を遅らせる可能性、インフラ資金の調達に手間取る可能性、技術の採用が想定より緩やかになる可能性を挙げている。どれが起きても、部材の購入義務が一部残ったまま、売上高の計上だけが先へずれ込みかねない。
第2四半期に、そうした事態が現に起きていると示すものは何もない。需要は依然として際立って強く見える。私はただ、次の第3四半期の決算がどうなるかではなく、その先の数年で需要がどう動くかを見ているだけだ。


