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2026.08.30 14:00

エヌビディアに挑むOpenAIの推論チップ「ハラペーニョ」、初のベンチマークで示された実力と限界

Rafael Henrique - stock.adobe.com

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2027年まで量産出荷されないプロセッサーが、米国時間8月25日、性能試験にかけられ、その結果が誰でも確認できる形で公開された。比較相手はすでに市場で売られている競合製品であり、採点の物差しを作ったのは、OpenAIでもエヌビディアでもない第三者の調査会社である。OpenAIは、ブロードコムと共同で設計した推論用アクセラレーター「ハラペーニョ(Jalapeño)」について、初めて性能数値を公表した。その数値は、その週の技術ニュースの見出しを独占するほど強い内容だった。

半導体メーカーが比較ベンチマークを出すのは、チップを売りたいからである。OpenAIには売るチップがない。同社が抱えているのは、10年近く続くデータセンター建設の支払いだ。電力効率を公開の場で示せば、その建設資金を引き受ける投資家や金融機関が知りたがっている一点、すなわち電力1ワットを投じてAIの応答をどれだけ生み出せるのかに、そのまま答えることになる。

試験に使われたのは、半導体調査会社セミアナリシスが運営する公開ベンチマーク「InferenceX」である。チップ単体に人工的な計算処理だけを解かせて速さを測る方式ではない。利用者が質問を送り、AIが回答を作り、それを返し終えるまで、実際にサービスを提供するのに必要な工程をひと続きで計測する。消費電力700ワットのハラペーニョは、同1400ワットのエヌビディア最上位システムと比べ、電力1キロワット当たりで処理できる量が最大1.9倍に達した。レイテンシー(質問を送ってから回答が出そろうまでの所要時間)も、最大で3.6倍低かった。試験対象はGPT-OSS 120B、DeepSeek R1 670B、そして1兆パラメーターのKimi K2.5である。DeepSeek R1では、利用者を1人だけつないだ条件で、毎秒700トークンを超える速さで文章を生成した。

電力効率でエヌビディアのBlackwellを上回った一因は、新型メモリー

セミアナリシスは、試験結果と同時に自社の見立ても公表した。そこには、この比較が抱える限界が、異例なほど率直に書かれている。ハラペーニョは最新規格のHBM4メモリーを載せており、それを積まないBlackwellと並べること自体に無理がある、という指摘である。

「Blackwellとの比較は、やや不完全で不公平だと私たちは考えている。ハラペーニョが本当に競っている相手は、ハラペーニョと同様にHBM4を使うRubinのようなチップだ」

ハラペーニョが搭載するHBM4は、毎秒15.4テラバイトの帯域を持つ。一方、比較対象となったエヌビディアのBlackwell世代システムが積むのは、1世代前のメモリーである。つまり、効率の差として表れた数値には、チップ設計そのものの実力ではなく、メモリーが1世代新しいことによる分がかなり含まれている。同じHBM4を積むエヌビディアの次世代チップRubinとハラペーニョを、条件をそろえて比べた試験は、まだどこも実施していない。

測定したのは試作段階のチップ、長い対話処理は試していない

今回の結果には、ほかにも3つの制約がある。試験に使われた半導体は、最初に動作した試作版にあたるA0ステッピングで、性能を高めた改良版のB0はすでに製造工程へ入っている。試したのは、読み込む文章が短く、質問と回答が1往復で終わる処理だけだった。実運用で処理の振り分けやキャッシュ管理に負荷をかける、何往復もやり取りするAIエージェント型の通信は、一切含まれていない。さらに、数値そのものを出したのはOpenAIであり、セミアナリシスは試験の実行に立ち会っただけで、ベンチマーク一式を自ら走らせたわけではない。

こうした制約があるからこそ、今回の結果は読み解ける。最初の試作段階の半導体が、公開ベンチマークでこれだけの数値を出したことは、紛れもない技術的成果である。そして書き添えられた留保は、次にどのような試験結果が出れば議論に決着がつくのかを、そのまま示している。

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