航空安全、水産など幅広いプロジェクトが受賞
・セーフモビリティ賞
AIによる乱気流予測で航空安全を高める産学連携プロジェクト
BlueWX × ANAホールディングス × 慶應義塾大学
本プロジェクトは、2019年からANAホールディングスと慶應義塾大学の共同研究として開始された。その研究成果をもとに設立された慶大学発スタートアップBlueWXは、さまざまな気象情報と過去10年以上にわたる数万件のパイロットによる揺れの報告情報をAIにより学習させることで、 乱気流が発生する特徴量を捉える予測モデルを開発。 乱気流は航空事故の最大要因でありながら、物理法則だけでは高精度な予測が難しかった。日本上空での予測精度86%という世界最高水準に到達しており、国内外の航空会社への展開が期待される。

・フードイノベーション賞
トリガイの種苗生産で「世界の海の畜産革命」を起こす
チキンクラム × 宮城県漁業協同組合女川町支所 × 宮城県女川町
本プロジェクトは、江戸前寿司の高級ネタ「トリガイ」を生かし、新たな海洋タンパク源産業の立ち上げを目指すもの。トリガイは、可食部の成長が世界の主要二枚貝で最も早く、栄養面でもタンパク質や亜鉛、ビタミンB-12、オメガ3脂肪酸、鉄を豊富に含む。一方で、天然資源への依存度が高く、種苗生産が課題だった。これに対しチキンクラム、宮城県漁協、女川町が連携し、わずか1年間で人工種苗生産技術を確立。生残率1%から事業化ラインとされる4%到達を目指す。

・リジェネレーション賞
.Garbon
Gab × 大木工藝 × 共和ライフテクノ × オカムラ
.Garbonは、あらゆる廃棄物を人工皮革や顔料、肥料といった高付加価値素材に生まれ変わらせる取り組みだ。分別や再生処理が難しい再生プラスチックや衣類、食料残さなどは、これまでその多くが焼却・埋め立て処分されてきた。循環型社会を目指すスタートアップGabがGarbonの構想を描き、炭化技術をもつ大木工藝、人工皮革製造技術をもつ共和ライフテクノ、オフィス家具や店舗什器の分野で高い製品化力を誇るオカムラ、それぞれの強みを掛け合わせ、廃棄物を椅子に使う人工皮革へと生まれ変わらせた。

・デジタルクラフツマンシップ賞
計算解析と熟練加工技術による次世代自動車構造の共創
Nature Architects × 浅野
本プロジェクトは、軽量化と衝突安全性能を両立させた、新たな自動車構造を開発するものだ。自動運転実現のための部品急増や電動化に伴う大量の電池搭載、年々高度化する衝突安全基準への対応により、車両重量は増加の一途をたどっている。一度の充電で長く走るには「軽量化」が必要だが、車体を軽くすると板金が薄くなり「衝突安全性」が下がる。この2つはトレードオフの関係にあり、既存の設計手法では対応できないという課題があった。そこで、Nature Architectsの計算解析技術と浅野の熟練金属加工技術を融合し、従来の設計限界を超える衝撃吸収構造を量産価格で提供できる体制を整えた。

・エネルギーソリューション賞
衛星データ×AIで蓄電所用地開発を支援するDeal Techプロジェクト
WHERE × パワーエックス
本プロジェクトは、再生可能エネルギー普及の鍵を握る「蓄電所用地」の開発・拡大を目指すものだ。再生可能エネルギーの普及に不可欠な系統用蓄電所は、送電線への近接性や地盤条件など要件が多く、用地確保が大きな課題だった。JAXA発スタートアップのWHEREが衛星データとAIの掛け合わせで候補地探索に加え、系統接続条件、 ハザードリスク、土地規模、権利関係などを踏まえたスクリーニングを実施。これにより、パワーエックスはビジネス開発リソースを、営業活動等の業務に集中させることが可能になる。

クロストレプレナーのプロジェクト審査は以下の3つ。
1. 日本発・グローバル(世界にイニシアチブを取るポテンシャルがあるか)
2. インパクト(社会課題や世の中全体に向け、大きな影響をもたらすことができるか)
3. 意外性(発想を揺さぶられるようなアセット・レガシーの組み合わせがあるか)
審査員は、Kconcept代表取締役社長で東京大学生産技術研究所研究顧問の片山幹雄、エスファクトリー代表で一般社団法人TXアントレプレナーパートナーズ副代表理事の尾﨑典明、女子美術大学理事副学長で共創デザイン学科学科長の松本博子、住友商事常務執行役員CDO・CIOでデジタル・AIグループCEOの巽達志、NTTドコモビジネス統合マーケティング部長でOPEN HUB代表の戸松正剛、マクアケ共同創業者でXinobi AI非常勤取締役・品川女子学院顧問・サツドラホールディングス社外取締役の坊垣佳奈、SHONAI代表取締役CEOの山中大介、Forbes JAPAN Web編集長の谷本有香の8名が務めた。


