世界最大のテクノロジー企業の財務諸表には、今後3年間にわたって、単なる脚注に終わるか、あるいはストーリーのすべてを支配することになるであろう「ある数値」が潜んでいる。それはAI(人工知能)インフラの減価償却費であり、その会計上の処理方法と実際の推移との間に生じるギャップこそが、株式市場で最も議論されていないリスクである。
まずは、その規模から見ていこう。ハイパースケーラーの設備投資額は、2026年には前年比36%増の6000億ドル(約95兆6000億円)を超えると予測されている。これはもはや、単なるテクノロジー予算の枠に収まる規模ではない。中規模の先進国の年間総固定資本形成に匹敵する額を、わずか4〜5社が、いまだそれに見合う規模の収益源が存在しない単一の設備カテゴリーに投じているのである。
その中心にあるのが、会計上の問題だ。企業がサーバーを購入する際、その費用は即座に経費処理されるわけではなく、資産の見積耐用年数にわたって規則的に配分される。見積耐用年数が長くなれば、年間の減価償却費は少なくて済み、その分、報告される利益は押し上げられる。ここ数年、主要なクラウドプロバイダーはサーバーの想定耐用年数を3年から4年へ、4年から5年へ、場合によっては6年へと繰り返し延長してきた。延長を行うたびに足元の利益は実態より良く見え、その都度、当時の合理的な根拠に基づいて正当化されてきた。
この前提が、特にAIアクセラレーター(AIの処理に特化した半導体デバイス)にそのまま当てはまるかどうかは別問題であり、率直に言って、その答えは誰にも分からない。ハードウェアの世代交代はほぼ毎年発生しており、新世代が登場するたびに、消費電力当たりの処理能力は前世代を劇的に上回っている。3年前のGPUであっても計算処理自体は可能だが、最新の半導体と比較した場合、得られる成果に対して稼働にかかる電気代の方が高くつく可能性がある。これは物理的な故障ではなく「経済的陳腐化」であり、物理的な故障を前提に組まれた減価償却スケジュールでは、このリスクを過小評価することになる。
過去実績に基づく計算結果は、すでに懸念すべき状況を示している。ハイパースケーラーの支出分析によると、直近4四半期のAI設備投資額は約4340億ドル(約69兆2000億円)に上る一方、減価償却費の計上は大幅に遅れており、さらに直近の支出のかなりの部分が営業キャッシュフローではなく債務によって賄われている。減価償却とは、その仕組み上、遅れて発生する費用である。2025年と2026年に投じられた資金は、2027年、2028年、2029年の利益を圧迫する費用として現れる。そしてそれは、期待された収益が実現するかどうかにかかわらず、確実に発生するのだ。
これこそが極めて重要なポイントだ。これほどの巨額投資に対する収益のストーリーは、決して不条理なものではない。AI製品は現実に利益を生み出しており、導入も本格化しており、企業向けソフトウェア市場も巨大だからだ。しかし、支出が収益を大幅に上回って先行しており、現在の会計制度では、企業は利益を今すぐに計上し、費用を後回しにすることが可能になっている。この仕組みはインフラ構築の最中には見事に機能するが、成長が減速した瞬間に悲惨な事態を招く。なぜなら、投資のピーク期に発生した減価償却費が、もはや成長が追いつかなくなった損益計算書を直撃するからだ。
この分野をカバーするアナリストの間では、現在の投資ペースが持続可能かどうかに対する懐疑論が着実に強まっている。彼らが懸念しているのは、AIが有用であるかどうかではない。投下資本利益率(ROIC)が投下資本そのものを正当化できるかどうかという、より的が絞られた、かつはるかに難解な問いなのである。
これが実際に破綻へと向かうメカニズムを考えてみよう。それは、突発的なクラッシュではない。ある四半期に、大口の買い手の1社が設備投資の伸びの鈍化を示唆することから始まる。投資の削減ではなく、単に成長ペースが遅くなるだけだ。このガイダンスは、彼らに製品を販売する半導体やネットワーク関連企業の売上予測に即座に反映される。なぜなら、このエコシステムにおいては、ある企業の設備投資予算が、別の企業の売上高そのものだからだ。それらの銘柄の株価は再評価される。一方で、買い手側の企業では、すでに購入済みの設備に対する減価償却費が上昇し続け、売上成長が鈍化する中で利益率が圧迫される。こうして、取引の両端にある企業のバリュエーションが同時に縮小することになる。
そのいずれも、AIが失敗することを必要としない。必要なのは支出の成長率が正常化することだけであり、成長率とはそういうものだ。
さらにその上には、取引の循環性という二次的な問題も重なっている。半導体設計会社が、自社チップを購入してくれるモデル開発企業に出資する。クラウドプロバイダーが、主な支出先が自社のクラウドコンピューティングサービスであるスタートアップに投資する。販売会社が実質的に提供した資金を使って、顧客がハードウェアを購入できるようにするベンダーファイナンスの仕組み。個々の取引には合理的な商業的理由が存在する。しかし、これらが一体となると、このセクターで報告されている売上成長の少なからぬ割合が、同じ資金が循環しているだけであり、経由地ごとに売上として認識されているにすぎないことを意味する。その割合がどれほど大きいかについて正確な見積もりを持っている者は誰もいないが、それこそが問題の核心なのだ。そうした実態は、セグメント情報などの開示資料には現れないからである。
ここで、投資家が実践すべき具体的な行動指針をいくつか挙げよう。
まず、保有する企業が資産の耐用年数をどのように処理しているか、そして最近その変更があったかどうかを確認することだ。これは開示されている。技術革新のサイクルが加速している時期に耐用年数の見積もりを延長している企業は、アグレッシブな選択をしており、その前提で評価されるべきである。
次に、その支出がどのように賄われているかに注目することだ。営業キャッシュフローから賄われる設備投資は、企業が主体的に投資を選択していることを意味する。一方で、社債発行などの債務によって賄われる設備投資は、引き返せない道を選択し、不確実なリターンに対して固定化された義務を背負い込んだ状態にある。このインフラ構築において、債務を原資とする割合は上昇しており、これはリスクプロファイルを大きく変化させる。
さらに、インフラ構築に向けて製品を売る側の企業と、インフラを構築する側の企業を区別することだ。売る側の企業は、短期的には優れた収益性を誇るが、その持続性は低い。なぜなら、彼らの売上は他社の裁量予算に依存しているからだ。構築する側の企業は、より強固な事業基盤を持つが、バランスシート上のリスクを抱え込むことになる。どちらもAI関連取引だが、その崩壊のプロセスは異なる。
最後に、今回のインフラ投資は技術が破壊的だからこれまでとは違うといういかなる主張に対しても、懐疑的な目を向けることだ。鉄道も破壊的技術だった。光ファイバーネットワークも破壊的技術だった。どちらのケースでも、技術自体は約束された通りの成果をもたらしたが、初期の投資資金はリターンを生まなかった。なぜなら、需要よりも早く供給が急増し、破産した企業からその資産を買い叩いた別の主体によって、資産価値の再評価が行われたからである。
技術が本物であることと、投資が利益を生むことは、まったくの別問題である。現在の市場は、この2つを同一のものとして扱ってしまっている。



