米国のeコマースサイトの多くでは、顧客とのコミュニケーションにライブチャット機能が利用されているが、小規模ビジネスのオーナーでも月額100ドル程度の料金が課される場合が多い。しかし、フェイスブックは今回のプラグインを無償で提供する。
フェイスブック・メッセンジャーの月間アクティブユーザーは世界で7億人以上。フェイスブックでは従来から、企業ページを通じ顧客がメッセージを送信することが可能だった。しかし、ユーザーの多くはグーグル検索を通じて企業サイトを探しだし、メールや他社のライブチャット機能を用いてコミュニケーションをとっているのが現実だった。
今回のプラグインの公開で、フェイスブックはさらに強固にユーザーを同社のプラットフォームに囲い込むことになる。この動きは今年3月の「F8」開発者会議で発表された、メッセンジャーのビジネス活用促進を実現するものと言える。当初、この仕組みはショッピングサイトのOverland やZulilyなどで限定的に導入され、商品の発送や決済情報を通知する際に利用されてきた。
フェイスブック・メッセンジャーやスナップチャット、Kikやウィー・チャットといったチャットアプリは今後、企業と顧客をつなぐ領域で、多くの利益を生み出すことが見込まれる。その規模はデジタルスタンプの販売などを上回ると思われる。マーケット調査機関のJuniper Researchは、今後さらに多くの銀行や証券会社等が、信頼性や親しみやすさ、使いやすさの点で同社のプラットフォームを採用すると予測している。
フェイスブックは既にP2Pの決済システムを米国のいくつかの都市に限定し、リリースしているが今後その利用範囲が拡大されることも期待される。
チャットアプリを通じた顧客サービスはフェイスブック傘下のWhatsAppでも盛んだ。ロンドンに拠点を置く、オーダーメイドのダイヤモンド指輪販売店、Rare Pinkは、従来からWhatsAppを顧客とのコミュニケーションに利用している。
同社の担当者によると、顧客らは公式サイトのライブチャットやメールでのコミュニケーションよりも、簡単に使えるWhatsAppでのサービスを歓迎しているという。