この日の記者会見ではGenspark「AIワークスペース 6.0」に関連するアップデートのほかに、同社初のハードウェア商品となる「SecondBrain Note」も発表した。
極薄サイズのカード型AIボイスレコーダーは、最大約35時間の録音に対応する。会議やインタビューの会話を記録し、文字起こしや要約を行うだけならば先行する競合他社製品も少なくない。
同社があえてこのタイミングでAIボイスレコーダーを開発する狙いについて、ジン氏は録音後のファイルをGensparkと連動させて、文字起こしや資料作成などの「続くタスク」とスムーズに連携できることのメリットを説いた。日常的に記録したボイスメモをセカンドブレインに蓄積すれば、AIによるコンテクスト解析はさらに賢さを増していく。
「私たちはAIボイスレコーダーを、様々な仕事の出発点になるデバイスに位置付けています。記録した会話をコンテクストと一緒にワークスペースに取り込み、より完成度の高いドキュメント作成に活かすことができるはずです」(ジン氏)
これまではデジタル空間に存在していたAIエージェントを、小型のハードウェアに載せることでAIを現実世界の会話に接続する、新たな試みでもある。

急成長を支えたボトムアップ型の普及戦略
同社はこれまでに、巨大企業から先にGensparkを売り込み、採用事例を増やして一気にトップダウン方式で裾野を広げるアプローチは採らなかった。反対に、個人利用から自然発生的に社内利用や連携利用へと広がりが生まれてきたことで、ユーザーに寄り添う形でビジネスを拡大してきた。CROのパウェル氏が、その歩みを振り返った。
「Gensparkは当初から法人向けに販売していたわけではありません。個人のアーリーアダプターが使い始めて、同じ会社の同僚やまわりのビジネスパーソンに利用者が広がっていきました。それ以降、満を持してビジネスプランの提供を開始しました」(パウェル氏)
2025年春にAI Workspaceとして展開を開始後、約9カ月(2026年1月時点)で年換算経常収益(ARR)が1億ドルを突破。さらに3カ月で2億5000万ドル規模に達したと、同社のサン氏が説明する。法人向け「Genspark for Business」は展開から8か月で7000社以上のクライアントを獲得し、企業価値は26億ドル規模へ到達。採用する企業の業種もまた広告、通信、製薬、小売、コンサルティングなど幅広い。


