AI

2026.08.30 10:30

AIの勝負はモデルでは終わらない、Genspark創業者が描く「次のAIサービス」の条件

共同創業者兼CEOのエリック・ジン氏

企業導入の側から見ても、事情は似ている。AIを入れること自体はできても、それがどれだけ成果につながったのかを説明するのは簡単ではない。現場が知りたいのは、どのモデルが最強かではなく、どれだけ仕事が前に進むかだ。生成AIの課題は、もはや知能そのものより、知能を成果へ変える導線の不足にある。

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共同創業者兼CEOのエリック・ジン氏と共同創業者兼CTO カイ・ジュー氏
共同創業者兼CEOのエリック・ジン氏と共同創業者兼CTOのカイ・ジュー氏

OpenAIやAnthropicの先にある市場で、何を作るのか

この市場認識を、Gensparkはきわめて明快な比喩で説明している。ウェン・サンは、OpenAIやAnthropicとの関係について、「彼らが作っているのはエンジンだ。私たちが作っているのは車だ」と語る。印象的なのは、この発言が単なる対抗意識ではなく、役割分担として語られている点だ。フロンティアラボがより高性能なモデルを作る一方で、Gensparkはそれを一般の知識労働者が「目的地まで到達できる形」へ変換する。勝負の場をモデルの優劣ではなく、利用体験の設計に移しているのである。

実際、利用者の大半はモデルの差異を精緻に理解したいわけではない。やりたいのは、資料をまとめること、重要なメールを返すこと、会議を前に進めることだ。だからGensparkは「どのモデルを使うか」より「何を終わらせるか」を前に出す。インタビュー時も、モデルを使い分けること自体が一部の専門職の負担になりつつあるという認識が示されていた。Gensparkが見ているのは、モデルの普及後に生まれるこの負荷を、いかに抽象化するかという市場だ。

Gensparkが出した答えは、「文脈」を持つAI

その答えとしてGensparkが打ち出したのが、SecondBrainという考え方だ。エリック・ジンはこれを「ナレッジワーカーのための持続的な脳」と呼ぶ。メール、会議、チャット、ドキュメント、アプリ、プロジェクト履歴といった仕事の断片を、ひとつの文脈として持たせることで、AIを単発の応答装置から、継続的に仕事を理解する相手へ変えていく構想だ。

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現在、提供されている最新の「Genspark 6.0」は、SecondBrain、スーパーエージェント、Build Suite・Office Suite・Content Suite、GenTeamという4つのレイヤーで説明されている。だが、本稿で重要なのは、それぞれの機能の詳細ではない。ここで見るべきなのは、Gensparkが「記憶」「判断」「生成」「協働」をひとつの流れとして束ねようとしていることだ。AIを会話の道具としてではなく、仕事の継続性を支える存在として設計しようとする意思が、この構造には表れている。

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文・編集=安井克至

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