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2026.08.30 10:30

AIの勝負はモデルでは終わらない、Genspark創業者が描く「次のAIサービス」の条件

共同創業者兼CEOのエリック・ジン氏

共同創業者兼CEOのエリック・ジン氏

ChatGPT、Gemini、Claude……。生成AIの主役は、この数年で一気に増えた。モデルの性能は確かに上がった。文章は滑らかになり、調査は速くなり、コードも画像も実用域に入った。だが、創業者たちの目には、別の問題が映っている。AIが賢くなったにもかかわらず、仕事の流れそのものはまだ十分に変わっていないという問題だ。米シリコンバレー発のGensparkが見ているのは、モデル競争の次に来るこの段階だ。

生成AIの競争は、現在も性能を軸に進んでいる。だが今後問われるのは、より賢い答えを返せるかどうかだけではない。誰が、どれだけ自然に、どれだけ少ない負荷で、その知能を仕事の成果へつなげられるか、だ。Genspark創業者たちは、その勝負はすでに始まっていると考えている。

シリコンバレーでAIサービスを立ち上げる意味

Gensparkは2023年12月、米カリフォルニア州パロアルトで創業した。いまシリコンバレーでAI企業を立ち上げる意味は明快だ。最先端モデル、半導体、資本、人材、そして企業導入の実験場が、なお最も濃く集積しているからだ。Genspark自身も、OpenAIなどのフロンティアラボと近い距離で協働し、未公開モデルへの早期アクセスやフィードバックの循環をプロダクトに反映しているという。AIの進化が速い時代には、技術を知るだけでなく、それを即座にサービスへ変えられる場所にいることが重要になる。

もっとも、創業者たちの視線は「最先端モデルに近いこと」だけには向いていない。同社のCTOのカイ・ジューは「AIモデルの能力は1〜2年前に比べて非常に強くなった」と語る一方で、「一般のユーザーがその能力を正しく評価するのは簡単ではない」とも述べている。ここに、現在のAI市場の本質がある。モデルは進化した。しかし、その価値を日常の仕事へ自然に接続する仕組みは、まだ十分に整っていないのだ。技術の進化と利用者体験の間に、なお大きな「ギャップ」が残っているのである。

生成AIの課題は、性能より「仕事の流れ」

Genspark創業者たちの発言を追うと、彼らが問題にしているのはAIの能力不足ではない。むしろ逆だ。能力が高くなった結果、それを受け止める側の作法が複雑になりすぎている。

ウェン・サンCOOは、「人は情報を知るためだけでなく、仕事を終わらせるために情報を必要とする」と語る。検索の時代には、情報にたどり着くこと自体が価値だった。だが生成AIの時代に問われるのは、その先だ。情報を得て、判断し、下書きを作り、共有し、次の仕事へ渡す。その一連の流れまで引き受けられなければ、AIはまだ「便利な部品」のままだ。

この認識を最も鮮やかに表したのが、創業者兼CEOのエリック・ジンの発言だ。彼は、現在のAIを「天才だがニワトリの記憶力で働いているようなものだ」と表現する。能力は高い。だが数ターン会話すると、前提も優先順位も忘れてしまう。だから利用者は毎回、自分が誰で、何をしていて、何を優先しているのかを説明し直さなければならない。生成AIが普及したにもかかわらず、仕事の煩雑さが消えない理由のひとつは、ここにある。

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文・編集=安井克至

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